新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

インドが外向きになることについては

8月30日号のLeadersには、昨日から日本を訪れているモディ首相のインドがその外交姿勢をこれまでより外向きへと変化させつつあることについて、それが急激に起きた変化ではなく、これまでの政権が目指してきた一定の方向性を受け継ぐものであること、そして域内の安定化を考えるうえで大変重要なものであることについて触れた記事が出ています。

とはいえ、記事の結論はインドが抱える課題は小さくないとの見方で、まずパキスタンおよび中国との間で抱える国境(領土)問題があり、次に保護主義からの脱却があり、さらには政府及びそれを取り巻く官営企業などの古い体質からの脱却がある、との分析に基づき、モディ首相にとって大きな課題であることを示してくれています。

日本のメディアが伝えることはといえば、京都迎賓館で池の鯉に餌をやっていることや、せいぜい触れても新幹線をはじめとするインフラ建設に関する話題どまりなわけですが、The Economistが関心を寄せているように、中国(パキスタンと仲良し)やアセアンとの関係を視野に入れたうえで、核拡散防止条約に入っていないインドが希望する原子力発電技術についてはどうするのか、同じようにインドが希望する軍用に転換可能な水上飛行機の製造技術についてはどうするのか、肝心要の問題の本質について報道の中心的話題にはしない、というスタンスはさてどうしたものかと思いますね。その辺を含めて、日本はいったいどうしたいのか?をしっかり論じることこそ、メディアに課せられた役割ではないかと思うのですが。