新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ちょっとだけ、めんどくさい。 

8月30日号のBusinessには、マーケティングにおけるブランドの役割とその変化について面白い記事が載っています。それによるとネット社会の充実によって、品質保証など購入者にとってブランドが果たす役割のうち、ある程度の部分はSNSや各種の情報比較サイトなどが代替するようになってきているのだそうですが、The Economistの見立てによると、人間は十分にめんどくさがりなので、ブランドが果たす役割をインターネットが完全に代替することはないだろう、とのお話です(まあそうでしょう)。

ブランドを覚えるのは苦手と言う人がネットを見ると言うケースもあるでしょうし、そも消費者としては自分の記憶とネットの情報と、どちらがどうという区別はせずに使っているような気がします。水は低きに流れると言いますが、それがブランドであろうとネット情報であろうと、より簡単な方法で情報を得ようとする、というのは人間ごく普通にありうる傾向なのかなと思います。口コミ、車内広告、新聞のチラシ。テレビコマーシャルの力はかつてに比べて衰えたのかもしれませんが、無視できるものではないでしょうし。

ちなみに、世の中にはブランド価値を比較するランキングなるものがあるそうで、やはり圧倒的に強いのがアップルとグーグルだそうです。日本企業、というか自動車産業代表ではトヨタについてのデータがでていますが、3つあるランキングのいずれも10位以下に留まっています。あとはサムスンがランク入りしていますが、それ以外はやはりというとなんですが、いずれもアメリカの会社ですね。

一つ言えることは、ブランドの持つ意味について、科学すればするほど話はややこしくなるということかなと。マーケティングのお勉強では「ロイヤルティが高いブランド」に価値がある、とよく言いますが、考えてみればこれほど流動的な要素はないと思います。たぶん、人々が欲しがっているのはアップルではなく、アップルが提供してくれる利便性だったり、カッコよさだったり心地よさだったりするわけで。より便利で良いものが市場に出ると、そこから先はあっという間、と言う事例は、ブラックベリーノキアの携帯電話にとどまらず、そこかしこに存在しているように思います。そう考えると、ブランド価値というのはある意味で、株価よりボラタイルなものなのかもしれません。