新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

中国民主化への長い道程

9月6日号のLeadersが、ウクライナ問題に続いて長い記事を載せているのは、先ごろ決まった香港の行政長官選挙(2017年実施予定)の実施方法について、中国共産党が認めた候補でないと立候補できないとする変更が、民主化への流れに逆行するものであることへの懸念によるものであろうと思います。

豊かになった中国の中産階級が望むものは、富の再分配が一部指導者の好き勝手にされる現在の体制を、少しでも民主的なそれに置き換えなおすことだろうと思うのですが、英国によりその制度が築かれ、運営され、そして変換された香港について、中国がその気になれば民主化のプロトタイプとして活用することもできたはずですし、その先には台湾問題の平和的解決も視野に入って来うるものとできたのではないかと思われます。

今回、中国政府が選んだのは真逆の選択でありまして、この意思決定のおかげで、民主化されていない中国により不幸せになる人の数がまた増えた、と言うことになろうかと思います。

かつて毛沢東は、「長江は、時に北に向かって流れ、また南に向かって流れ、どうかすると西に向かって流れているところもあるが、それでも全体としてみれば長江は西から東へと流れている」と言ったそうですが、今回の決定はそのような詭弁によるものというわけでもなさそうで、かの国の中にたまりつつある政治的ストレスのエネルギーを、より高めることにしかならないものではないかと懸念します。

心からアジアの幸福増大を願ううえで、何より憂慮すべき変化ではないかと思うのですが。