新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

TPPもたぶん

ネットで流れている10月11日号のLeadersには、自由貿易協定のちょっと進化した要素として語られることの多い外国投資家保護に関する困った話、いわゆる「逆作用」みたいな事例についての記事が出ています。

曰く、保護された外国投資家が、国内の政策が変わることにより被害を受けたと言って進出先の政府から補償を求めたりする事例が最近ヨーロッパなどで散見されているのだそうで。

たとえばですが、日本がどこかの国と投資保護協定を結んでいたとして、その協定の中で日本の投資環境が良いことを保証する、というような一般的な取り決めがあったとしましょう。外国から日本にやってきて商売をしようとする投資家からすれば、原発による安定的かつ低コストの電力が使えることは望ましい投資環境の一つだと思うのですが、仮に原発再稼働が長引いて、太陽光などによる非安定的かつ高コストの電力しか使えなくなった、とするとこの企業は(むろんその他の条件にもよりますが)日本政府に補償を求めてくる可能性があったりする、ということですね。

外国投資家は、その国の政治や経済と一蓮托生で仕事をするような立場にない、ということです。考えてみれば当たり前の話なのですが、長らく日本から外に出ることばかりを考えさせられていた日本経済にとって、入ってくる投資家をどう遇するか、自由貿易協定との関係でどのような施策が必要になるのかなど、結構未整備な部分もあるのではないでしょうか。TPPをまとめようとする努力はむろん大切だと思うのですが、それに劣らず欧州などの事例に学んだタイムリーな受入れ準備も求められていると言うことだろうと思います。