新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

原油安

普通に日本のメディアに接しているだけだとあまり実感はないかもしれませんが、原油の値段が下がっている、のだそうです。The Economist10月25日号のLeadersによると、今年1月に1バレル115ドル超まで値上がりしたブレントの価格は、85ドル近辺にまで下落しているのだとか(ちなみにネットで調べると、10月24日段階で多少下げ止まってきているようで、Nasdaqのサイトでは1バレル86.13ドルと言う数字が見えます)。

円安で油を買うコストが上がる日本としてはとりあえず朗報、と言えると思いますが、世界経済を見るとどうなるかというと、The Economistによれば油の値段が上がると反米的な国々の勢いが強まる、のだそうで、例えばロシア、ベネズエラ、イランなどの経常収支は確実に改善する方向に行くわけですから、なるほどと思える要素ではあります。でも、たとえばイランなどは急進派のアフマディネジャド大統領から穏健派のロウハ二大統領に代わったわけで、そこで民生が悪化してまた急進派が勢いづくようなことになっては(アメリカは)困るわけです。

ロシアは、ルーブルの価値が下がっている分、輸出代金が増える役目を果たすので、市況下落の効果は限定的だろうということなのですが。

日本にとっては、原発代替の化石燃料コストが多少なりとも下がってくれることは短期的にはありがたい話、と整理できると思いますが、それも構造的にどうなのか、化石燃料依存が続くとCO2排出量は高止まりのまま推移するわけで。円安は、アベノミクスを何とか希望あるものにとどめる効果をもたらしてくれていますが、原油が安いことが鈍化する世界経済の成長を多少なりとも刺激してくれるようだと、多少なりとも明るい材料と言えるのではないかと思われます。