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新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

実質的減税、というあるべき議論(日本が取るべき別な道)

1月17日号のThe Economistがネットで流れています。

世間がフランスに端を発したイスラム過激派のテロに注目する中で、Leadersのトップはエネルギー価格の下落について、補助金などの政策を見直す千歳一遇のチャンスであるという意見記事になっています(テロ問題は、スリランカの新大統領についで3番目の扱い)。いわく、エネルギー価格が下がるのだからそこは炭素税等の導入機会となること、さらに炭素税導入と併せて(これまで高価だった)「汚い」エネルギー(クリーンエネルギー以外のもの?)に対する補助金の削減も実施すべき、というものです。

折しもクリーンエネルギーの価格自体も技術開発等によって下がり始める傾向にあるのだそうで、これまで潜在的な供給不安に対応するため世の中のありとあらゆる部分に張り巡らされてきたエネルギー関係の補助金を、一気に見直す機会ではないのか、というのがThe Economistの議論です。同誌の試算によると、昨年世界でエネルギー価格の安定や新しい石油資源の探査に使われた補助金は何と総額5.5兆ドルにも及び、その補助金がもたらしたと推定される二酸化炭素排出量は一説によると1980年~2010年の総排出量のうち36%にも上るとされているそうです。

エネルギーの値段が下がる→消費者の担税能力が確保される→炭素税導入の好機となる、という図式は、歳入を考える役所の立場にある者ならば、だれもが注目するものなのかもしれません。また、これと併せてさまざまなエネルギー補助金をなくすことができれば、財政健全化の新たな財源としても注目しうるものになると言えるかもしれませんし。

そこまで見たうえで日本国内の議論を鑑みるに、原油価格の下落については短期的な現象との議論を出るものにはなっておらず、当然ですが増税議論などほとんど目にすることはないと思います。だとするとThe Economistの意見に対しては、結果論ではありますが相対的に言って日本は実質的な減税にも等しい政策(?)を取っているという見方すら成り立つのかもしれなくて、アベノミクスが実施されている状況下にあっては、それによる経済の活性化にこそ期待する、ということなのだろうと思います。

そうなると、残されるのは地球温暖化対策という大きな宿題と、原発再稼働問題ということになるわけですが、技術開発による温暖化対策と、長期的な安定供給の視点から原発を議論することに、多少は時間を使えるようになったという捉え方もできると思うので、その意味でも原油価格の下落はやはり大きなチャンスととらえるべきですね。願わくばもう少しの間、原油価格が低いまま推移してくれますように。