新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

無能と絶望

2月7日号のThe Economistは、来週に迫ったナイジェリアの大統領選挙に関する鋭い論評を載せています。いわく、経済成長以外の課題にことごとく失敗した現政権よりは、かつての軍事政権で独裁者であった対立候補のほうがまだまし、という結論で、世界の途上国が抱える内憂外患の見本みたいな事例についてけれん味のない分析を加えています。

元植民地の現状をイギリス人がどう捉えているか、と言う視点で見ても興味深い記事ではありますが、それよりも差し迫った脅威であるボコ・ハラムの問題を解決できないことや、内憂の典型とも言える話ですが為政者自身が汚職に手を染めていることなど、選挙という手段があるのなら是非とも変えたい国情と、それなのに対立候補はかつての独裁者であるという選択肢の重たさをしっかりと記事は伝えてくれています。

日本のメディアは、選挙前だと特に、他国に対してこういう切り込み方はしないですね。で、選挙が終わってほとぼりが冷めたころに、さもわかったような解説が載ったりするわけです。対象国がアフリカ、ということもあるのかもしれませんが、相手は高度成長真っ只中のナイジェリアですので、少なくない日本企業の関心が向く先だろうと思うのですが、我が国メディアの論理はどこか別のところにあるようです。

ナイジェリア人が自国政府の無能ぶりと将来への絶望とに挟まれて生きているのとはずいぶん違うかもしれませんが、日本人もまた、自国メディアの無能ぶりに辟易していることを改めて認識した記事でした。