新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

会社は見えるように

3月28日号のBusinessは、これまでお作法の違いが何度も取り上げられてきた日本の企業統治について、産業用ロボットメーカーのファナックの例を引きながら、望ましい変化が起きているという論評を加えています。

記事によると、投資家から見てつき合うのが難しい会社と言われてきたファナックが、株主やジャーナリストを工場に招待して、潤沢な現預金を配当に回すことや社外取締役を増やすことなどを約束したとのこと。

これは、直接的には外国人投資家からの要請を勘案して決定されたことのようですが、控えめに見たとしても「企業のおカネは投資家のもの」、という整理には一点の曇りもないわけですから、経営に必要な現預金を控除し、再投資をしたうえで余るおカネは投資家への還元に回すのが常道と言えばそのとおりな訳です。

記事は、日本の企業統治が全体としても望ましい方向へと変化しつつあることを好意的に捉えていまして、たとえば大企業の社外取締役が最低二人置かれることになったことなどを評価しています。

そういえば企業の会計基準も、最近になって国際財務報告基準(IFRS)に合わせる会社が増えてきた、という話を新聞で読んだ記憶があります。それもこれも、投資家の目から見て中身が良く見えるような変化、と言うことだと思いますが、制度に縛られて米欧流の経営に絡め取られることなく、「会社の時間は社員のもの」「業績に対する評価は経営者の責任」「会社の成長はみんなのもの」という、株主万能主義とは違う日本的経営の良さを世界へ訴求できると良いのですが。