新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

変化の割合

4月4日号のSchumpeterには、シリコンバレーが男性社会であり、女性の進出が年々難しくなっているという、ある意味で意外な話が取り上げられています。

性差別に基づく不当な扱いを受けたという女性ベンチャーキャピタリストが元の雇用主を相手取って起こした訴訟があり、女性自身は勝てなかったものの社会の注目をこの問題に惹きつけた、のだそうで。

アメリカでの女性の教育レベルは男性に勝っており、大学卒業生では男性100名に対して女性はなんと140名に上り、MBA経営学修士)取得者数も1970年以降右肩上がりだそうです。それなのに、コンピューターサイエンスを学んだ女性が1985年には37%だったのに2010年にはそれが18%に減少し、ソフトウェア開発の仕事でも1990年に全体の34%を占めていた女性の比率が2011年には27%に落ちているのだそうです。

記事ではその原因のひとつに業界文化とでも呼べそうな要素、すなわちボーイズクラブ的な要素を持つシリコンバレー特有の社会構成について紹介するとともに、「これは解決されるべき問題だ」との認識に立って(訴訟を回避すると言う意味が大きい?)対策を取ろうとしていることを伝えています。

記事が結論付けるように、「タレントの供給源の半分を無視することの愚かしさ」に対応することは意義のあることだろうと思います。他方で人材供給源(高学歴女子)は増えているのにシリコンバレーで働く人は減っている、という変化の割合の相克そのものが問題だ、と言い切るのはやや短絡的?という気がします。女性でMBAを取られた方々の興味や志向についても是非聞いてみたいですね。140名の多くが仕事にあぶれている、とでもいうなら別ですが。