新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

経済特区の今

4月4日号のFinance and economicsには、世界各国でさまざまな類型的発展を見せる経済特区(Special Economic Zone: SEZ)についての記事が出ています。80年代に中国そして東南アジアで成功事例を見たSEZですが、元々は輸出加工区といって、その地区に進出してきた企業に対し原材料と製品の輸出入についての保税措置など優遇策を提供する代わりに雇用創出が狙えるという政策がベースになっています。これにさまざまなインセンティブをつけることで外資の進出が相次ぎ、雇用および人材育成・技術移転が進むという正の効果をもたらしてきたものです。

このような実績が働いてか、The Economistによると現在では政治家や経済学者に受けが良い政策だということですが、汚職に悩むインドや高いコストと煩雑な手続きがネックになっているアフリカの事例もあるようで、すべてがバラ色というわけではなさそうです。

韓国やタイでは静脈産業を対象としたバリエーションも生まれるなど、まもなく世界中ではおよそ5,000もの事例が稼働すると想定されているのだとか。

80年代からこの方、日本は海外でSEZを作るばかりでしたが、閉塞感ただよう現状からのブレークスルーを目指すためには、強化したいと考える分野(たとえば高付加価値型の農業など)について、自国にSEZを作るという議論がもう少し高まっても良いように思います、既得権益を持つ抵抗勢力を排除するくらいのエネルギーを注ぎ込む覚悟で。