新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

なんのために

4月11日号のLeadersトップは、来年の米大統領選に向けたヒラリー・クリントン女史の立候補表明が近いことを予想してか、彼女の立候補に関する論評記事になっています。

経験豊富であること、数多くのアドバイザーを持つがゆえに「対応が見えにくい」政治家であること、対立候補がいなさそうなことなど、すでにあちこちで報じられている通りの話ではありますが、「アメリカ人は戴冠式でなく選択を望む」という考え方に、無投票が続出した日本の統一地方選挙との本質的な差異を見る気がしますね。

それがゆえに記事が問うのは「彼女は何のために」立候補するのかという根源的な疑問です。経験の豊富さがその強さを裏打ちする彼女にとって、これまでに慣れ親しんださまざまな場面における「アメリカの国益追求」を挙げれば良いわけで、ある意味で最も組しやすい質問ではないかと思われますが、同時に前々回のオバマ候補のような大穴が出てくるようなことでもあると、経験が多い=清新さに欠ける、というような欠点にならないこともない点ではあります。どう対応しても自分ならやれる、と思う人間は、一点突破を生命線と考える人間に比べると勢い受動的なスタンスを取ってしまいやすくなるのだろうと。

さしあたり日本との関係で言えば、TPPと沖縄の基地問題そしてアジアインフラ投資銀行への対応がそれまでにどのように推移しているかで変わってくる要素もあるのかもしれませんが、これまでになく「政策の引出しが多い大統領」になるだろうと思われる分、日本側もアメリカが何を考えるのかについて、これまでよりもしっかり勉強して臨む必要が出てきそうですね。