読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

アジアでインフラ投資が難しい訳

5月2日号のFree Exchangeは、土地収用に関するインドの事例を取り上げ、途上国ではありがちな話として、地権者との調整がつかないことが大規模投資の妨げになっていることを伝えています。

インドのタタ自動車が、新型車ナノの製造工場として西ベンガル州で工場建設を始めようとしたところ、土地収用がうまく行かず計画が頓挫しかけたのを、当時グジャラート州の首相だったモディ現首相が代わりの土地を提供し、プロジェクトは何とか実現できたという事例がありました。モディ氏はこんどはインド首相として、国全体の土地問題に悩まされることになったというのは皮肉な話です。

土地だけではなく、知的財産権でもそうだというのですが、ものすごく込み入った権利体系と、手厚く保護された「既得権」は、途上国で大規模投資案件を進めにくくするケースがあります。

途上国と言うと、ちょっと見には行政システムが近代化されていないということで、有力者の意見が通りやすく、話をまとめるのも難しくなさそうに見えたりするかもしれませんが、世界の少なくない途上国には、かつて社会主義の影響を受けた法制度がそのまま残っていて、既得権が手厚く保護されているという例が珍しくありません。

極端な例では、開発が決まるとどこからともなく多くの人が移住して来てテント暮らしを始め、立ち退き補償金を釣り上げるなどと言った話も耳にしたことがあります。

アジア開発銀行などで途上国へのインフラ投資が進まない原因の一つにも、地元政府が地権者との調整をこなしきれないという側面があると思うのですが、中国が新設を働きかけるアジアインフラ投資銀行についても、「旺盛なインフラ需要」という側面ばかりを見ていると、同じ轍を踏まないとも限らない話ではないかと思います。それともまさか、受益国に中国式の中央集権型行政制度を輸出しようというわけではないだろうと思うのですが。