新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

そういう手もありかも

The Economist5月23日号のInternationalには、最近ヨーロッパの国々や、アメリカのビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が部分的に採用して注目されている新しい開発援助の仕組みが取り上げられています。

これまでの開発援助と言えば、学校を建てる場合にしても、人材育成をする場合にしても、まずドナー側がおカネを使うところから始まったわけですが、たとえば学校建設で潤うのは地元の建設業者だったり、人材育成で教育機会を得た人たちが簡単に転職してしまったりということは確かにあったわけです。

それが、新しい仕組み~The Economistは、キャッシュオンデリバリーすなわち成果払いと呼んでいますが~では、成果が確認されたらおカネを払うという考え方を導入すると言うものです。学校であれば、建設資材費くらいは前払いしなくてはいけないのでしょうが、手間賃や管理費は〇人の生徒が卒業したらその時点で払う、というような整理にしておくことで、援助に求められる本質的な成果を担保しようと言うものです。

少なからぬ援助事業で「いくらおカネを使ったか」が評価指標となって来たこれまでを振り返るに、重要な視点ではないかと思います。日本のODAだと、事細かな評価が繰り返しなされなくてはいけない仕組みになっていて、これはこれで時間と評価業者に支払う対価が無駄遣いと批判されることも少なくないのですが、何か単純な成果指標を決めておき、それが達成されればその分のカネを払う、というシンプルなやり方だと、そのあたりの無駄も節約できそうです。

無論、すべての援助がこの方式に改められるべき、と言うことではないのですが、既存の考え方にミックスすることで、より妥当性の高い援助が実現することを期待したいと思います。