新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

成長への期待はかすむのか

The Economist6月20日号のAsiaには、日本経済の今後について、安倍政権が描く成長戦略に疑問符を投げかけた記事があります。曰く、労働市場や健康保険などに大きな改革を必要とするのに、急激な変化を示す兆候は企業経営や農業など一部を除いてあまり見られないとのこと。ロバート・フェルドマン氏の発言を引用する形で、政府が約束する生産性向上を果たすために必要な構造改革は全く不十分であるとの見解も示しています。それにもかかわらず、2020年に財政収支を均衡させるという現在のシナリオはいかがなものか、というのがポイントで、IMFのコメントとして「当局の財政均衡実現に関する自信を毀損するもの」という意見も紹介されています。

たしかに、全要素生産性(労働力と資本の生産性を合わせた指標)の伸びが1980年代のそれを凌駕する(1%→2.2%)という目標は、思わず「どうやって?」と聞きたくなるものですが、逆に言うとそれをしないと目標は実現できませんよという開き直りロジックとも捉えうることができるものなのかもしれません。

開き直りで政治をやってはいけないと思うので、ここはどうやったらそれが実現できるのかを考える、いわば知恵出しのフェーズなのだろうと思います。オリンピックの年までに実績を上げるとともに、長期にわたって方向性をしっかりと示すのだとしたら、何より今が重要な時期であることは論を待たないと思います。胸突き八丁、ここが頑張りどころではないかと。