新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

変節?

3月26日号のThe Economist誌は、一種の社説ともいえるButtonwoodの欄で、長年の主張をひっくり返したのではとも思える意見を開陳しています。

そもそもThe Economistといえば、自由貿易自由主義経済の旗振り役を自任してきた歴史が物語る通り、基本的に小さな政府を支持し、増税反対、公共事業の縮小賛成、規制緩和は原則としてよいこと、イノベーションは経済の活力という主張を隠さない論調が主でありました。

というわけで、アメリカ大統領選挙においては共和党候補を推すことが多く、民主党クリントン政権の時代は特に辛辣な批評を隠さないことが多かったと思います。

それだというのに、今週号ではアメリカに蔓延する不公平を是正するためには公共事業によるテコ入れもやむなし、社会保障の削減反対、自動運転のような雇用削減型のイノベーションには疑義を呈するという、聞く人が聞いたら思わず「まさかThe Economistの主張ではないよね」と聞き返すのではないかと思われるほどのドラスティックな主張を述べています。結論のところには「それが有権者が求めるものだ」という一言があり、同誌の主張では必ずしもないことを断り書き(言い訳?)しているのですが、バーニー・サンダース氏、ドナルド・トランプ氏の躍進ぶり(と、特に共和党既存政治家の不振)を見るにつけ、The Economistと言えども認めざるを得なくなった格差解消要求の高まりの強さを感じます。

同様の動きはフランスの右派躍進にも言えるようで、だとすると日本の民進党にも意外や意外な追い風が吹いたり・・・しないんでしょうね、今のままだと。常に感じることですが、かなりのレベルまでグローバル化されたと言われる経済の下にあって、一体この差は何なんでしょうかね。誰か知ってる人がいたら教えてほしいところです。