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新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

Uberが示す経済原則と、業態進化の可能性

Uberというサービスを聞いたことがありますか?スマホのアプリで位置情報を知らせると、近くにいるUber登録ドライバーが来てくれて、目的地まで載せてくれてクレジットカードで支払いするという、言ってみればタクシーの進化系みたいなサービスです。ドライバーはタクシー会社の人だったり、個人だったりとさまざまだそうですが、日本では成田空港などごく限られたところでサービスを行っているという話を聞いたことがあります。

で、The Economist5月14日号のFree exchangeが語るのは、アメリカはニューヨークで広く使われているこのサービスについて成立している経済原則と、それに伴って生じるユーザーの不満、その解決につながるかもしれない業態の進化についてのお話です。

曰く、Uberにはsurge pricingというシステムがあって、たとえば人気歌手のコンサート直後など、特定地域で特定時間にニーズが集中するような場合には需要の増加に対応して自動的に価格が上がるのだとか。この方式が悪いほうに働くと、大雪の日に公共交通機関が止まる、というような場合にはとんでもない価格でないと車を呼べないなどということが発生したのだそうで。需要と供給のバランスが変化したことで価格が変わるというのは経済学ではイロハのイみたいな話です。

ところがユーザーの立場に立てば、世の中には定価という概念があって、普段いくらくらいで乗れる区間が一番ほしい時にその価格で乗れないという現実は、経済学の原則がどうだか別として、やっぱり割り切れないものだろうと思うのです。円ドル相場じゃあるまいし、だいたい需要が減ったからと言って最低線以下で乗れることなんかないじゃないか、とでも言いたくなるのだろうなという想像くらいはつきますね。

実際の話、地域のクルマが出払ってしまうと新規参入は遠いところからお客さんを狙ってやってくるクルマになるので、往復の燃料費を考えると価格はだいぶ上がらないといけないのではないかと思うのですが、記事によるとそこはそこ、コンサートの終わり近くになるとビジネスを狙ってUberのドライバーたちも会場近くに集まってくるのだそうです。そう言われると、経済学という学問はなるほどよくできてるなあと思わなくもないのですが。

で、現在Uberにとって課題とされているのが、たとえば災害時などに需給バランスが予期せぬ変動を起こす場合、輸送手段の確保について政府や自治体が何かできるか(Uberの側もどのような協力が可能か)ということに加えて、自動運転技術の登場にどのように適合するのか、ということがあるようです。確かに、仮に自動運転が支配的になると、タクシーサービスは個人ドライバーを充てにしたUberの手から、再びタクシー専業会社のものへと移って行くのかもしれませんよね。このいずれの場合についても公的機関が果たす役割や規制・許認可がビジネスの方向性を左右することだけは間違いなさそうです。

日本では、規制緩和が進まずになかなか使えないUberですが、すでにアメリカではここまで進んでいたのかと思わされた記事でした。