新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

悩み深い話

The Economist電子版のトップには、先ごろ発表された日本の消費税引き上げ延期を巡る論評記事が出ています。読者コメントは、おそらく経済学に詳しい方々のものばかりで、さすがに中国共産党反日オルグみたいなトンデモコメントは出る幕がないようです。

記事は、経済の停滞を巡る政治的な判断として税率引き上げが先送りされ、それによって構造改革は停滞を余儀なくされるであろうこと、そうであっても衆議院解散の代わりに民意を問われる参議院議員選挙において野党に期待する有権者は少ないだろうことを伝えています。確かに、もともと消費税率引き上げ延期を言っていたのは民進党なわけで。

読者コメントの中に目を引かれるものがあったのは、確かに日本経済は良くないけれど、現状では依然として強い経常収支を誇る状況にあることから、構造改革を進めることでより成功に近づける道はあるのではないか、という指摘です。

企業会計に例えると、高コスト体質と莫大な利払いによりPLは良くない、でも海外からの配当などにより所得収支(営業外収支)は良い(キャッシュフローの源泉)、BSは過大資産のため借入金が大きく、資産価値の上下によって債務超過の危険があるという状態だと思います。そうみると、「生き残るために」やるべきことはキャッシュフローを原資とした構造改革による高コスト体質の克服と借入金の圧縮、ということになるのですが、会社と違って国はつぶれない、という考え方が感覚を麻痺させることにつながっているのではないかと思います。

(ちなみにアベノミクスでは売上高(GDP)を上げること、も目標にしていますが、600兆円はかなり高いハードルであるように思えます)

確かに国はつぶれないかもしれませんが、理由は違えど麻痺した例はいくらでもあるわけで。アフガンやソマリアのように、とは言わないまでも、明日の日本が国として機能しなくなるなるまえに、何かをしなくてはならない、ということまでははっきりしていると思います。

残念ながら、参議院議員選挙の争点に構造改革が上がってこないのが今の日本の状況と言うことで、世界から見れば金持ちの悩みに過ぎないのかもしれませんが。