新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

背に腹は代えられぬ、と言う場合には

6月18日号のBusinessには、さきごろ原子力発電所の更新を認める決断をしたスウェーデンの事情について伝える記事が出ています。それによると、電力確保のため他に手立てがないということから、それまで課されていた懲罰的ともいえる原発への課税を取りやめ、原子炉の設備更新を認めることになったのだそうです。スウェーデンでは、電力需要の4割をまかなう原発再生可能エネルギーが主な電力供給源だそうで、だとすると化石燃料をほとんど使っていないということだと思うのですが、やはり再生可能エネルギーだけでは需要を賄いきれないというのが現状のようですね。

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それでもスウェーデンは、2040年までには原子力を含まない再生可能エネルギーで全ての電力需要を賄うという計画を電力事業者に承認させたのだそうで、何かというと暫定的な措置が恒久化しがちな日本とは若干違った対応を取っているように見えます。

途上国でも、インドが導入を決めたウェスチングハウス社の原子力発電所は、事故を起こした場合の責任を同社に負わせるという条件を巡って契約交渉が難航していると伝えられているのだそうですが、いずれの事例も遠因をたどれば福島の原発事故に行き当たるのだとすると、福島は人類にとってチェルノブイリスリーマイル島の事故とは本質的に違う何かを示してくれた出来事だった、といえるのかもしれません。