新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

7月12日を注目する意味

出張があって、少しご無沙汰してしまいました。

そろそろ日本のメディアでも注意を払う向きが出てきているようですが、来週7月12日にはフィリピンによる提訴を受け、常設仲裁裁判所が結論を出す予定となっています。

The Economist7月2日号でも、アジアに関する俯瞰的なコラムを書き続けてきたBanyanの筆者が本件に関するコメントをしていますが、南シナ海の埋め立て工事などは、これまでのところ商用航路を巧妙に避ける中国側の対応もあって、アメリカの主張する自由な航行を直接的には妨げていないことから、裁判所の決定を受けてもアメリカの態度自体は変化しないのではないか、とのことです。

日本のメディアが伝えるところでは、中国が裁判所の判事指名について日本の関与を非難するという、的外れの対応をしているとの報道もありましたが(ということは、間違いなく日本政府外務省が反論などの対策を取っている=安心して日本のメディアが報道できる、と言うことだと思います)、結論が自国に不利になることが予想される中、中国は力による示威行動を連想させるような反応を取るのではないかと思われます。動じないアメリカ、防御をしっかりやる日本、右往左往するフィリピンそしてASEANというような絵姿が想起されますが、メディアには牽強付会で押してくるであろう中国のレトリックをしっかりと書き留めて、将来何かにつけ参照してやるくらいのしつこさ、粘り強さがほしいものだと思います。この点、The Economistは大変すぐれたメディアだと思っております。