新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

テロリズムへの対応、が物語るもの

今日はThe Economist電子版から。おそらく明日発売の8月20日号の記事になるのではないかと思うのですが、イギリス政府が始めたテロ対策についての記事です。

一言で言うと、徹底的に個人情報を洗い、疑わしい人をマークする、と言うやり方なのですが、逆に言うとそうしないといけないくらい移民が増加して、イスラム教徒の数も多く、そこからまさに湧き出すようにしてIS参加者が出てきているということなのかと思います。

ただ、何というかアプローチの考え方自体が日本もしくは東アジアのそれと大きく異なるように思うのは、日本人あるいは日本の考え方の底には「大切にしたい日本」みたいなイメージがあって、それを尊重してくれる人はたとえ外国人であっても受け入れ、むしろその人たちの力を借りて社会や文物を大事に守って行こうとする感覚があるのに対して、どうもそういう部分が希薄と言うか、移民を受け入れるにしても「大切にしたいイギリス」をどう守ってゆくのかについての問いかけが果たしてどのくらいなされたのか、がいまいちよくわからないところがあるように思います。

よく言われるように、イギリスを含む欧米諸国に比べると、日本は移民について扉を閉ざした国なのだろうと思います。でもそれは、感覚的に「大切にしたい日本」を守るための仕方ない選択なのだろうと思うのです。

そもそもイギリス自体がかつては世界に覇を問うた歴史を持つだけに、「ウサギ追いしかの山」的なイギリス像を持ちえない国なのかもしれません。でもだからといって、移民受け入れが自らの美しい国をそうでなくすることにつながるリスクを甘受し続けるわけには行かない、だとしたらどうするか、という議論の末の今回の対応なのだろうと思います。

調べられる方からすれば、得られたはずの自由ではなく、監視と疑惑の目に晒され続ける日々が待っているわけで、それが彼らを含む社会の分断を一層悪化させることになるという負の選択につながるであろうことを、私たちは他山の石としてよく見ておかなければならないのだと思います。

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