新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ケッコンしない日本人

9月3日号のAsiaには、50歳を過ぎて結婚しない日本人の比率が女性で10%、男性では20%に達しようとしている現象についての読み解きが載っていまして、国内のメディアもよく取り上げる話題ではありますが、若干の視点の違いがあるように思われたので、それについて。

www.economist.com

The Economistが注目したのは、同様に結婚する人の比率が下がっている他の先進国との比較です。すなわち、アメリカでもヨーロッパでも「結婚」する人は少なくなっている、のだそうですが~主に女性の経済的・社会的自立による~、他の先進国では同棲カップルによる出産・子育ての比率が伸びており、日本ほどの深刻な少子化につながってはいない、と言うお話です。

他方で日本はと言うと、確かに女性の自立が進んできていて(あるいは男性の非正規雇用が増えていることも一因かもしれませんが)、結婚しなくてもやって行けるパターンが増えているということかと思いますが、同棲、もしくは結婚に際して男性側が求める女性への行動モデル~いわゆる内助、みたいなイメージでしょうか~が女性をして「だったら結婚しなくても良いや」的な判断に走らせている、というのです。

国内メディアも類似の見方をする例があるように思います。現象的な因果関係に基づいて日本と他の先進国の違いを整理すればおそらくこのような見方になるのだろうと思うのですが、何かもう少し深いところで違う要因が働いているのではないかと言う気もするのです。それは、「子供を産み育てる」ということの引力が強いか弱いか、みたいな話です。現象的には待機児童の問題が良く取り上げられますが、それよりずっと長期的な視点に基づいた話としての「社会の再生産」みたいなものへの賛同が、一昔前に比べて弱くなっているような気が、何だかずっと心の中に引っかかっているのです。

同棲カップルでも子供を産み、自立した女性の在り方を含めて積極的に社会の再生産を進める欧米の考え方は、ある意味で新しい時代を模索する取り組みだと言えるものと思います。新しい時代を日本人は、日本社会はどのように提案しようとしているのか?

これだけは言える、と思うのは、非婚そして少子化の流れの中には積極的な提案など読み取れない、ということですかね。なんだか、ちょっとマズイのでは。