新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

自由貿易への弔鐘

ネットではThe Economist1月28日号が流れています。Leadersは多国籍企業の引き揚げ、混乱するベネズエラの政治経済、米中貿易交渉の見通し、最貧国の私学教育、ロシアの家族制度という、一見バラエティに富んだ構成ですが、トップ記事と3本目のいずれもトランプ新政権による保護主義的政策がアメリカひいては世界の経済に及ぼす負の影響への懸念に彩られています。

トップ記事の多国籍企業に見る退潮傾向については、まさにトランプ政権の政策が直接のきっかけとなるものですが、グローバルに生産を展開することで世界に安価な製品を供給してきたこれらの会社について、代替的にその機能を保管する担い手が必ずしも存在しない中で、これら企業の収益は漸減し、株価も低下し、やがて経済は鈍化するだろう、そして世界はかつてグローバル企業が反映した時代を懐かしく思うだろう、とのご託宣です。

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米中貿易交渉については、自国の国営企業をさまざまな手立てで厚遇し、競争的な環境を受け入れない中国に対してTPPで用いた諸政策を適用することで、自由貿易の促進が図られるであろうことを示唆しつつ、でもそれは考えにくいですよね、という結論になっています。

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さすがのThe Economistもお手上げ、という感のあるトランプ新政権ですが、同誌としても、ここまで矢継ぎ早にここまで保護主義的な政策実施に走るとは、という感じなのでしょうかね。