新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

海の底の不気味

The Econnomist誌は2月11日号のScience and technologyで、イギリスの科学者チームによって行われたマリアナ海溝の汚染調査について報じています。日本でも新聞などで小さな記事が出ていたので、ご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。

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最深部は海抜-10,000メートルを超える深海部がどうなっているのか、実際に無人探査船を使って採取したサンプルからは、中国東北部を流れる遼河~瀋陽などの大都市や石油化学工業などで環境問題が発生している場所もあって、日本のODAが対策に使われたりしているようですが~の5から10倍の濃度でポリ塩化ビフェニール(PCB)やポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)が検出されたのだそうです。

これらの、いわゆる「残留性有機汚染物質」は、自然界には存在せず、工業的な利用のために人間が化学的に創り出した物質です。特にPCBの毒性は広く知られており、日本でも厳重な管理の下で相当のコストをかけて処理・廃棄事業が進められています。

太陽の光も届かず、熱水も湧かないとされる超深海で、どうしてそんな汚染物質が検出されたのか。地球科学の面ではロマンを感じる要素もなくはないと思いますが、むしろ不気味さが先に立つニュースですね。