新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ハーバードビジネススクールの憂鬱

The Economist電子版で目にした記事です。

泣く子も黙る(?)かどうかわかりませんが、ハーバードビジネススクールと言えば最強のMBA養成機関というイメージがある中で、今月発表されたビジネススクールのランキングでトップを滑り落ちたことについて、記事は容赦ない論評を加えています。

www.economist.com

曰く、成長のあまりに時間をかけるべきさまざまなプロセスを急ぎすぎたことで競争力を失った、収入が増えると同じようにコストも増加した、ケーススタディで採用された会社が触れてほしくない不都合な部分は事例から除いた(本来ならここが肝だと思うのですが)、教授が企業からおカネをもらえるようにした(都合の良いことしか言わなくなる惧れ)、様々な学生を受け入れる努力にもかかわらず授業料はここ5年で3割も値上がりした、マイケル・ポーターに代表されるスター教授についても、このところ若手の台頭がない、など。

で、結構本質的な疑問だと思うのは「ハーバードビジネススクールは教育なのか、ビジネスなのか?」という問いかけですね。仮にビジネスだとしたら、コストダウンにより5年前のコスト構造へと転換できればその企業価値は50億ドルを下らないだろう、とのご託宣です。さらにビジネススクールの上場により、大学側は特別配当金をもらえるはずで、それを社会貢献へと回せる中、ビジネススクールそのものは卒業生たちがそうであるようにケレン味のない利益追求ができるようになるはずだ、との結論で締めくくられています。The Economistが言うように、果たしてハーバードビジネススクールの上場・株式公開なんていう流れはありうるのでしょうか?

仕事で日本企業による海外への事業展開をサポートしていて感じるのは、たとえばMBAに代表されるようなビジネスの人材力について、米欧(最近は東南アジアのトップ企業とも)と日本には決定的な差があるということでして、ハーバードビジネススクールはその象徴的な存在だったので、特に印象に残る記事でした。株?買って損はなさそうかな、と。