新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

大統領令を巡ってアメリカ最高裁の決めたことについて

日本のメディアでも昨日にかけて、米トランプ政権が打ち出した中東6か国からの旅行者を3か月間アメリカ入国禁止とする大統領令が連邦最高裁によって条件付きで容認したという報道が流れました。The Economistも電子版でこれを取り上げています。

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でもその条件とはどんなものなのか?しっかり触れた報道は日本では少なかったように思います。The Economistの解説によると、対立軸はトランプ政権とハワイ州、およびトランプ政権と国際難民支援プロジェクトというNGOの二つがあるようです。決定では10月以降に、最高裁判事の立会いの下で対立する各者による口頭弁論が行われるとのことが謳われているのだそうですが、これが開かれずに終わる可能性もあるとの話。

どうしてかというと、トランプ政権が言っているように3日以内に大統領令を実施すると、おしまいは9月27日となり、10月になるとすでに失効した状態になっているはずで、誰も失効した大統領令の適否を論じることに意味を見出さないのではないか、との読み解きです。ではどうしてこんな変な条件がついたのか?ですが、誰も急がなかった、というのがその背景にあったようで、よく時間がものごとを解決してくれる、などと言いますが、とりあえずの妥協を時間を区切った形で受入れ、口頭弁論の予定を立てることで法的に果たすべき義務は果たした、ということなのかと。

一言で言うとややこしい決定だったということかと思いますが、「条件付き」の内容を伝えない端折った報道に、何だか置いてけぼりを食ったような印象を感じてしまった事例でした。