新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

生き方と生き様の、多様化

ネットでは7月29日号が流れているThe Economistは、LeadersとInternationalでそれぞれ子供を持つ生き方とそうでない生き方をする人たちについての記事を載せています。

www.economist.com

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日本では、少子高齢化あるいは人口減少問題などというふうに、なんだか国家の問題のように一言で括られることが多いと思いますが、The Economistの見方は(そして多分、少なくない西欧のメディアも)、「終生子供を持たない人の率」みたいな指標を通じ、むしろ社会の問題として捉えようとしています。

むろん、たとえば日本の年金制度のように、子供の数が少なくなると厳しい制度を構築してしまうと、それは国家の問題という部分が強く出てくるわけですが、The Economistの読み解きによると、子供を持つ人も持たない人もいて、アイルランドなどがそうであったように、子供を持つ人がたくさん産めば人口問題への影響は大きくない、という性格の話だろうということなのです。

そういう目で見ると、先進国の首脳には子供のない人が多く(偶然でしょうか)、日独仏英の首脳はみなそうだったりします。ただ統計的に見ると、たとえば30歳過ぎて子供のない女性の比率が高まっていることは事実のようです。

興味深かったのは、ドイツなどでは男性の場合大卒よりも高卒以下の人に「生涯子供を持たない人」の率が高いという話でして、これはパートナーとして一定以上の資格を持った男性の方が選ばれやすいから、という仮説がその説明として挙げられています。

考えてみれば動物も、発情期にはオス同士が力比べをし、勝った方のオスがメスを独占したりするという生態だったりするわけで、だとするとみな平等に結婚し、みな平等に少しの子供を持つ、といったビジョンの方がどこかおかしいという話であることが分かると思います。

結婚する人はする、しない人はしない、子供を持つ人は持つ、たくさん欲しい人はたくさん持つといった多様化を通じて、あからさまな損得が発生しない社会を実現できれば、最終的には日本の少子高齢化問題も緩和される方向に向くのではないかなと、そんなふうに思うのですが。