新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

アイヌ語を学んで見えてきたもの

今日はちょっと趣向を変えて、The Economistの兄弟誌である雑誌・1843から、アイヌ語を学び出したというJonathan Beckmanさんの話。

www.1843magazine.com

インターネット上には、アイヌ語を含め絶滅の危機にあるマイナーな言語、たとえばインディアンのチェロキー語やチベット語の方言などを学べるサービス(Tribalingualというサイト)があるそうです。ワクワク感と興味にかられた(For the romance of it all,)Beckmanさんは、ここでアイヌ語を学ぶことにしたそうです。スカイプでその言語を研究している専門家と直接会話もできるようなのですが、その経験を通じて知る興味深い発見がたくさんあったようです。

彼によると、UNESCOの情報ではアイヌ語のネイティブスピーカーは世界で15人しかいない(!)こと、かつて沿海州からサハリン、千島を含む範囲で話されていたアイヌ語が今は北海道にしか残っていないこと、アイヌ語にはさまざまな方言があるものの、アルファベット16文字で表記可能なこと(表音文字なので日本語よりアルファベットの方が表記に向いている)、ゆえにとても簡単な言語であることなど。

アイヌ語に比べると、たとえば英語はアルファベット26文字を使いますが、ZやXなど、なくても済む文字がまだレガシー的に残っており、必ずしも合理性の高い表記法になっていないことや、外国語を学ぶときのレッスンが、「あなたのおばあさんはロバを持っていますか?」「あなたは赤い船が好きですか?」など、シュールな例文の集まりであることなども、この学習を通じて気づいた点だったようです。

確かに、私たちが学校で習った英語の例文も、かなりシュールなものが多かったです。「昨夜ジョンはあまりに遅く帰宅したため夕食が食べられなかった(食べりゃいいじゃん!)」「赤いクルマと黄色いクルマのどちらが好きですか?(おおきなお世話や!)」突っ込みどころ満載のこんな文は、日常生活ではほぼ絶対に使いませんよね。

アイヌ語を学ぶなんてヒマな人の時間の使い方、と言ってしまえばそれまでですが、ふだんは英語と日本語だけで完結してしまっているような空間にいると、ちょっと新鮮なお話に聞こえました。そのうち時間が出来たら、何かマイナーな言語に接してみようかな。