新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

田舎暮らしを好む若者について

だいぶ久しぶりの投稿になってしまいました。

 

The Economist誌3月24日号は、Asiaで「日本の若者が田舎に移住する」という事例を取り上げて、人口減少と高齢化が進む日本における若者の志向が多様化していることに注目した記事を載せています。

www.economist.com

田舎に移住する若者、という事例が果たしてどの程度社会の変化に影響を及ぼすものなのかについてはさすがのThe Economistも具体的な論評はありません。でも確かに直接的に地域の活性化に資する部分はあろうと思いますし、また政府がそのような動きを政策的に支援しようとするのも理解できるところです。

ただ何というか、世界的にみると、今の日本で田舎暮らしを通じてまったりとした時間を楽しむことができることの効用あるいは満足感は、意外と高いのではないかと思うのです。いや、日本でなくても世界のどこでも、健康と平和と安心・安全が担保された環境で微温的に生きられることの心地よさは、評価されるべきポイントになってきているような、そんなインスピレーションがあるのですが、だとすると日本の田舎暮らしは鉄板で世界一の住環境だったりするのかと。整備されたインフラと壊れないクルマ、誰もが使える医療・介護システムに加え、張り巡らされた流通小売りネットワークと全国津々浦々に広がるコンビニ。加えて近隣住民には穏やかな高齢者が多く、長年の貿易摩擦輸入自由化の波を乗り越えて生き残った農業は安全安心の食料を安定供給してくれる。

The Economistが洞察を働かせたのは、そういった部分についてのメリットを追求する生き方、みたいなものへの賛同意識ではなかったかと。

一帯一路とイケイケどんどんに対抗する貿易戦争が懸念され、明らかに命をすり減らすような流れが弱まることのない今日において、何か違う価値がそこにある、そんなインスピレーションが見え隠れした記事でした。