新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

代わるものがない?

4月21日号のThe EconomistAsiaのコラムで最近の安倍政権が苦境にあることを簡潔に伝えているのですが、その切り口は支持率低下でもスキャンダルでも野党の攻撃でもなく、自民党内が揺れているというもので、その意味では日本のメディアとちょっと目の付け所が違うのかなと思わなくもない記事です。

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でも読んでみてちょっとがっかりしたのは、そもそも自民党中選挙区時代から続く派閥の連合体で云々という、日本のメディアでは手垢にまみれたような読み解きで、旧額賀派竹下派に模様替えしたのは閣僚ポストが少なかったからだとか、それが高じて竹下派が安倍政権支持を止めるのではないかとか、いささか古い見方しかしていない点でした。

それはちょっと洞察が浅いのでは?と思いながらもこの記事について考えてみたとき、もしかしたらと思われたのは「リーダーがいて、事務所があって銀行口座さえ持っている」という派閥に関する記述でした。法人格があるわけでもない「派閥」が、銀行口座を持てる不思議が物語るとおり、依然として派閥は実質的に機能しており、それに代わるものがない、ということではないかと。

小選挙区制が派閥の弊害を減らす、と期待されたのは一昔前、小沢一郎小泉純一郎の時代だったと思います。その後今に至るまで、選挙制度改革の功罪が広く総括されることはなかった(総括されて欠点が明らかになると、解決のための対案が求められる、ということにつながりますね)と思うのですが、だとするとこの記事が伝えるのは、日本人が無意識に避けている「自己革新の失敗」すなわち制度を変えても代わるものがないので、結局古い仕組みをそのまま使っている、という指摘なのかもしれません。