新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

3より4

5月5日号のThe Economistは、LeadersとBusinessの2本の記事を割いて、アメリカの携帯電話会社T-mobileとSprintの合併協議について詳しく伝えています。それぞれちょっとずつ違う中身の記事になっていまして、Leadersのほうは合併がもたらす市場の変化と消費者利益、そして大規模設備投資についての考え方が論じられています。

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なんでも、イギリスの調査会社によると、世界の携帯電話市場では、4社が競争している環境では3社による場合に比べると消費者の支払うコストが25%くらい安くなるのだそうで、そうだとするとこの合併協議は認められない場合もありうるのかもしれません(日本では楽天が第四の携帯電話会社になる予定ですが、そうすると価格が下がるという理屈になりますね)。でも協議を仕掛けたT-mobile側には別の勝算があるようで、それは5G回線の充実だそうです。クルマの自動運転などに必要とされる5G技術では、アメリカよりも中国や、どうかすると韓国あたりの先行が伝えられる中、この合併がアメリカ初の5Gネットワークをもたらすものであるというのが当事者の主張だそうです。これについて、The Economistの主張としては珍しく、韓国が進める共用インフラ投資としての5Gネットワーク整備に注目し、一民間企業に任せるよりは、国全体で進めた方が良いのでは?というトーンの批判的な意見を結論にしています。

 

もう一本、Businessの方の記事では、T-mobile側の仕掛けによって当初の目論見が狂ったかもしれないソフトバンクの対応についても書かれています。

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それによると、少数株主としてある程度良い条件を獲得できたようで、説明としては対等合併であっても、今後はT-mobileが主導権を握るであろうことが書かれています。

但し、規制当局の判断についてはまだ難しいところもあるようで、The Economistは過去の判断事例などから50-50の合併が最も望ましいという専門家の見方を伝えています。