新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

IT創業はもはや?

The Economist誌6月2日号のBusinessには、最近目に見えて減ってきているベンチャービジネスの起業(スタートアップ)とその原因に関する驚きの洞察が出ています。

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それによると、アマゾン・フェイスブック・グーグルなどIT大手が、競合しそうな分野で急成長しそうなスタートアップを見つけては、①買収する、②対抗サービスを始める、③情報や人材の囲い込みでスタートアップが成長できないようにするなどの対策を取ってきているのだそうで、実際の統計を見ると2015年をピークにベンチャービジネスへの投融資残高は右肩下がりになっているようです。

アメリカだけでなく世界を制覇した感のあるこれらネットビジネスの大手にとってみれば、かつて自分たちが小さかった時からさほど時間をかけずに急成長したのと同じことを後発企業にやられること=自分たちのビジネスが危うくなること、という理屈だろうと思われますが、他方ではかつてパソコンを舞台として繰り広げられた技術開発の中心が(マイクロソフトの時代)、ネットとモバイル環境に移行してきたことにより、これら新興企業にとってチャンスが広がりやすかったという事情もあったようです。それにくらべて最近、ネットとモバイルに代わる新しいインフラが出てきたわけではないことも、競争のレッドオーシャン化を加速させているのではないかと。The Economistによればそれもあって仮想通貨や人工生命などに投資が流れている、ということなのですが。AIやロボットなどはどうなのよ?と突っ込みたくなる部分ではありますが、広くIT分野で考えればこれらのテーマはすでに織り込み済み(大手が奪ってしまった)ということなのかもしれません。もはやアメリカも、創業に向いた土地ではなくなりつつある、IT分野に限ればそういうお話だとすると、時代の変化のスピードに今更ながら驚きを感じざるを得ませんね。