新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

セグウェイに起こったこと

11月22日号のThe Economist誌はBusinessで、アメリカで始まった立ち乗り2輪車(セグウェイという名前をご記憶でしょうか?)の技術が、いまどのようなビジネスになりつつあるのかについて、いささかビックリの内容とともに伝えてくれています。

www.economist.com

記事によると、現在セグウェイ社を所有しているのは中国のキックスクーター製造メーカーだったナインボットという会社だそうで、立ち乗り2輪車の特許侵害についてセグウェイが訴訟を起こした直後に買収した(当然ですが訴訟は必要なくなります)とのこと。ちなみに買収総額は公表されていないそうですが。

ナインボットは、現在世界各地のライドシェア会社などにOEMでスクーターを出荷しているそうですが、経営の方向性としてはメーカーというよりもむしろAIとロボット技術を使ったベンチャー企業という感じで、現在投資を進めているのがオフィスの中まで郵便や物を届けてくれる自動配達システム、だそうです。経営者によると、立ち乗り2輪車の技術はセグウェイと訴訟になった段階ですでに自社開発していたのだそうですが、買収はセグウェイが持っていた400件にも上る特許をそのまま自分のものにできたという点でメリットがあったようです。

いわゆるGAFAを含めたアメリカ発のニュービジネスは、成長軌道に乗った会社は当然ながら、セグウェイのように将来を期待されてその後どうなるか、という企業くらいだと中国に買われてしまったという事例はこれだけではないのではないでしょうか。

日本勢で頑張っているのはソフトバンクくらいかもしれませんが、ナインボットにとっての立ち乗りスクーターのように、成長性のあるビジネスは買ってきてそれから大きくする、という取り組みもまた「あり」なのだろうと思います。そう考えるとビジネスの世界はまた面白い。