新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

日本対アルゼンチン、という組み合わせとは?

たとえ世界を意識する仕事をしていたとしても、日本にいる限りは「日本とアルゼンチン」という対比関係が何を物語るのかについてピンと来る人はそう多くないだろうと思います。

3月29日号のThe Economistは、Finance and economicsのページでしっかりとこの二国についての対比分析をしてくれていて、思わず膝を打つような切り口もあるので今日はこれを紹介したいと思います。

https://www.economist.com/finance-and-economics/2019/03/30/how-argentina-and-japan-continue-to-confound-macroeconomists

私も、目次でこの記事を見かけたときに「ラグビーW杯の組み合わせかな?」と思ったくらい、両国は世界のラグビーでは常連国でありながら常勝国ではないという共通点があるのですが、記事の中身は純度の濃いマクロ経済のお話でした。そのへん、流石にThe Economistの面目躍如ではあるのですが。

記事曰く、日本とアルゼンチンはマクロ経済学の通用しない2か国である、ということのようで、実際にノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツ(建設需要による20年周期の経済変動:クズネッツ循環を提唱した人)が言ったところによると、世界には4種類の国があるそうで、それは先進国、途上国、アルゼンチンそして日本、なのだそうです(笑)。

アルゼンチンは、いくら金利が上がっても消えない構造的なハイパーインフレ、低貯蓄率と為替変動に弱いペソ、日本はいくら人手不足が続いても、いつまでたっても消えないデフレ、現金をため込むばかりの国内経済と為替変動に強い円という、マクロ経済学の理論が通用しない状況が長く続いていることで、はたから見ているとほかの国とは異なるメカニズムで動く「別の国」のように見えるのだそうです。確かに日本の場合、人手不足で賃金が上がればデフレはなくなるはず・・、なのですが、実際には全くそうなっていませんよね。

これをイギリス人の視点から見ると、どれだけ金利が上がっても貯蓄率が上がらず、投資に廻すおカネがない中で為替変動がインフレを刺激してしまうアルゼンチンの構造的な欠陥と日本のそれは、いつまでたっても良くならないという点において一緒じゃないの?ということのようです。

記事は結論として、クズネッツのコトバをもじって「世界には4通りの国がある、それは先進国、途上国、そして実際はどちらかに属しているのだが、自分たちをそうでないグループの国だと思っている二つの国である」、とイギリス流の皮肉で締めくくっています。

記事の言うことが正しいとすると、アルゼンチンは自分のことを先進国だと思っていても、実態がついてきていないということに加え、日本は先進国なのに、もしかして自分のことを途上国だと思っていませんか?という問いかけがなされているということになるのですが、うーん、これはひょっとして図星かも。