新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

気候科学小説、の不気味さ

いささか古い記事ですが、4月4日号のThe Economistは、Books and artsのページでScience Fiction (SF小説のこと、日本語では空想科学小説、ですかね)ならぬClimate Fictionというカテゴリーの文学について紹介しています。

https://www.economist.com/books-and-arts/2019/04/04/can-the-novel-handle-a-subject-as-cataclysmic-as-climate-change

例えば、こんな具合です。

「・・・次の年の冬は雨だった。寒さはマイルドで心地よかった。でもただ雨が続くだけだった。それが、私たちが冬を失った年だった。」

(ルイーズ・エルドリッチ ”Future Home of the Living God”より、日本語訳は私)

何とも言えない不気味さが漂いますよね。たとえばですが、私たちが向かおうとしている未来は北極から氷山が消え、シロクマが絶滅し、サンゴがなくなり、海の生態系が一変する、みたいなことも多分同時に起きているはずの世の中ですから、それはどんなフィクションより迫力はあるだろうと思うのです。

ジョン・ランカスターの「壁」という小説では、イギリスの海岸線に壁が建設され、それは海水とそして押し寄せるボートピープルを防ぐためのもの、という設定でお話が進むのだそうです。

今はまだ、SF小説のバリエーションみたいな感覚で読んでいられますが、そう遠くない将来にSFから現実へと、同じ小説のカテゴリーが変わってくるのかもしれません。