新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

デジタル医療

ネットでは2月3日号が流れているThe Economistですが、Leadersのトップ記事は急激に実用化が進むネットを使ったデジタル医療、とでも呼ぶべきセルフケアの流れについて解説しています。

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すでに実現している部分も併せて言うと、ウェアラブル端末とスマホを使って自分の健康データをリアルタイムでモニターしながら、自分のDNA情報を参照してAIが示してくれるさまざまな疾病の可能性に注意する、という生き方で、The EconomistはそれをDoctor You(あなた自身が医者)と呼んでいますが、確かにそういう時代がもうそこまで来ているのだろうなと思うことがあります。

私自身、特にウェアラブル端末をつけるようになってからというもの、日々の消費カロリーやジムに行った時の心拍数などを気にするようになりましたし、消費カロリーと体重は若干の時差を持ちながら相関関係にあるのだということも実感しています。

あったらいいなと思うものとしては、血液データのモニタリングができる仕組みでしょうか。さすがにこれは今のところ、採血しないと難しいのかもしれませんが、毎日簡単に様々な数値が判るようになると、食べ物についての注意も変わってくるだろうなと思っています。

ビッグマックインデックス

1月20日号のThe Economitは、Finance and economicsに恒例のBig Mac Indexが載っていて、現在の通貨価値とのズレをわかりやすく示してくれています。それによると、先進国の中で通貨安になっているのは英国のポンドと日本円だそうで、ポンドは英国のEU離脱問題から、日本は異次元の量的緩和からそれぞれ安くなっていることが伺えます。ネットによると現在、単品では380円となっているビッグマックですが、円ドルレートが110円前後ということで、The Economistは3ドル43セントという評価です。仮に、380円がアメリカで売られている5.28ドルと同じ価値だとするならば、1ドルは72円くらいでないと合わないことになります。もしも1ドルが72円だったとすると、ガソリンなんかはだいぶ安くなるのではと思います。

昨年、アメリカに出張した時もホテルが高くて難儀したのですが、仮に1ドルが72円くらいになってくれるとしたら、だいぶ助かることになりますね。

とはいえしばらく量的緩和は続くでしょうから、円が市場にたくさん出ているとすれば円の価値は上がらないわけで、だとするとしばらく円安基調は続くのかなと。

よいこが増えた?

The Economist1月13日号のInternationalは、世界のティーンエージャーに共通してみられる現象として、以前の同じ世代に比べて飲酒や不純異性交遊などに代表される問題行動が減少し、友達を作らなくなったと分析してくれています。

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統計的には、飲酒経験や異性経験に至った年齢が明らかに上がっており、父親とフランクに話せるとした比率も高くなっています。喫煙やクスリ、ケンカなどの対人暴力も同様で、一言で言えば世界中で若者は「より非享楽的で、より社会のルールを守る」存在になってきているとのこと。

一つには、家族が一緒にいる時間が増えて、特に父親と接する時間が伸びていることが挙げられていますが、他にも学歴が上がっていること、欧州では飲酒を禁忌とする移民が増えていることも影響しているのではないかとの分析もあるようです。

そして何より、ネットの普及やSNSの登場が、若者をして物理的に友達と付き合わなくても済むように仕向けているのではないか、との洞察があります。異性と付き合わなくなり、結婚もしなくなるほどに。

The Economistが読み解くのは、医学の進歩で長い期間生きられるようになってきており、怠けているようにも見える若者たちも、人生においていつ何をすれば良いのかを真剣に考えるようになったのではないか、とのこと。

確かにそうかな、と思わされる場面が、日本では増えたような気がしていて、それは日本だけかと思っていたらどうやら世界的な変化みたいです。なんだか不思議。

トランプ大統領就任一周年

1月13日号のThe EconomistはLeadersのトップにトランプ大統領就任一周年についての論評記事を載せています。

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記事によると、暴露本の出版もそうだったと思いますが、この一年はいつ何をツイートされるかでハラハラしどおしだったとのことですが、とりあえず経済は好調、それでも選挙公約の多くはうまく行かず、パリ協定やTPPからの離脱など、The Economist的に言わせるとアメリカの利益とならないことに拘泥するなど、出来は中くらいではないかとのお見立てです。

官僚人事の停滞が影響している要素として、財界からの取り立てが相次いでいるそうですが、The Economistが警戒するのは、本来企業が支払うコストを社会に付け替える流れが出来ているのではないかという点です。なんだか議論が左派的ですが、The Economistをしてそういわせるだけの流れがあるということなのかなと。

ロシアゲートに関する特別検察官の捜査の行方や北朝鮮問題など、まだわからない要素はあるものの、だからといって不適格性云々でトランプ大統領を罷免するというような議論にはThe Economistなりの分別を持って「それはおかしい」との認識を示しています。二年目を迎える大統領の行く手には岐路ばかり、という状況のようですが、それが大国のリーダーの運命なのかな、とも。

とりあえず、経済が好調なのは悪い話ではないのだろうと思うのは、アメリカの外から見てるからですかね?

合計特殊出生率2.8を達成した日本の自治体とは

今朝はThe Economist電子版のトップ記事に出た日本の話題について。

記事が取り上げたのは、岡山県の北の端に奈義町という人口6000人ほどの町があり、出産に対して町がさまざまな支援策を講じた結果、出生率が2.8に達したというお話です。

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記事が取り上げるのは、さまざまな補助金を含む経済的支援に加えて、しっかりしたコミュニティの存在が妊婦さんの助けになった、みたいなお話ですが、それで何とかなるのなら、ぜひ何とかすべき状況であろうと思います。

ちょっと考えると、人口6000人の町で女性が半分として3000人、このうち妊娠・出産する年齢の女性が仮に1000人いたとして、生まれる子供は2800人。義務教育期間が12年あるので、一学年あたりに直すと2800÷12=233人となり、爆発的に大きな数ともいえないと思います。

現在の日本は、この数字が1.4くらいなのだそうで、そうすると計算上は一学年が116人くらいとなり、だいぶさみしい感じがしますね。現在は日本全国がこの趨勢にあって、人口は減少の一途、ということだと思います。

奈義町の例が補助金とコミュニティで子供を増やそう!みたいな政策の、モデルにならないものかと。そういう町になら、「ふるさと納税」しても良いかなという気になりますが。

中国と環境

新年1月6日号のThe Economistを読んでいます。

イランのデモについて、あるいはNHKの受信料問題についてなど、相変わらず感度の高いアンテナが張られているなあと思わされる記事が多い中で、中国の環境問題について二本の記事が出ています。

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一つ目の記事は、生物多様性と昨年まで合法だった象牙取引の禁止がもたらした象牙市場の急落などについて。写真はロバの皮革で、中国ではロバの皮から取れるゼラチンが医薬の原料になるのだそうで(なおかつロバの頭数は増えているのだそうで)、そちらの市況は上がったまま、のようです。

さらには、中国が廃棄物の輸入を部分的に禁止したことが先進国に与える影響についても触れられているのですが、そこは先進国側がしっかり対応することで担保されるとすると、中国が環境に舵を切るのは世界にとって悪くない、という結論になっています。

二つ目の記事も環境に関係するのですが、経済学的には「外部不経済」とされがちな環境対策について、今のところインフレ懸念もなく、産業構造の転換(製造業からサービス業へ)を阻害する要因にもならず、中国経済は上手く対応できている、というのがThe Economistの見立てです。

たしかに、20世紀から今に至るまで世界のリーダーたりえたアメリカが、特にトランプ政権ではパリ協定から脱退するなど後ろ向きの姿勢を取りだしている中で、欧州を中心とする環境重視型の先進国に対し、経済運営と環境対策を両立させるという姿を中国が示しうるのであれば、それはアメリカ型自由主義経済よりも中国型社会主義市場経済が世界のためになる、というプレゼンテーションにもつながるものになりえるでしょうから、その意味するところは小さくないのではないかと考えます。

もともと欧州も、そして多くの途上国も、社会主義的な考え方に対する拒否感はアメリカほど強い訳ではありません。だとすると、21世紀初頭において安全保障、人権、経済の分野で常に国際社会から疑念を突きつけられ続けた中国が、2018年に至って環境という切り札によってようやくその劣位を払拭することになるのかもしれませんね。やや大げさに聞こえるかもしれませんが、それが歴史の転換点だと、未来の歴史学者が認識することになるかもしれない話であるように感じています。現時点ではまだ「もしかすると」的な話にすぎませんけど・・。

アイヌ語を学んで見えてきたもの

今日はちょっと趣向を変えて、The Economistの兄弟誌である雑誌・1843から、アイヌ語を学び出したというJonathan Beckmanさんの話。

www.1843magazine.com

インターネット上には、アイヌ語を含め絶滅の危機にあるマイナーな言語、たとえばインディアンのチェロキー語やチベット語の方言などを学べるサービス(Tribalingualというサイト)があるそうです。ワクワク感と興味にかられた(For the romance of it all,)Beckmanさんは、ここでアイヌ語を学ぶことにしたそうです。スカイプでその言語を研究している専門家と直接会話もできるようなのですが、その経験を通じて知る興味深い発見がたくさんあったようです。

彼によると、UNESCOの情報ではアイヌ語のネイティブスピーカーは世界で15人しかいない(!)こと、かつて沿海州からサハリン、千島を含む範囲で話されていたアイヌ語が今は北海道にしか残っていないこと、アイヌ語にはさまざまな方言があるものの、アルファベット16文字で表記可能なこと(表音文字なので日本語よりアルファベットの方が表記に向いている)、ゆえにとても簡単な言語であることなど。

アイヌ語に比べると、たとえば英語はアルファベット26文字を使いますが、ZやXなど、なくても済む文字がまだレガシー的に残っており、必ずしも合理性の高い表記法になっていないことや、外国語を学ぶときのレッスンが、「あなたのおばあさんはロバを持っていますか?」「あなたは赤い船が好きですか?」など、シュールな例文の集まりであることなども、この学習を通じて気づいた点だったようです。

確かに、私たちが学校で習った英語の例文も、かなりシュールなものが多かったです。「昨夜ジョンはあまりに遅く帰宅したため夕食が食べられなかった(食べりゃいいじゃん!)」「赤いクルマと黄色いクルマのどちらが好きですか?(おおきなお世話や!)」突っ込みどころ満載のこんな文は、日常生活ではほぼ絶対に使いませんよね。

アイヌ語を学ぶなんてヒマな人の時間の使い方、と言ってしまえばそれまでですが、ふだんは英語と日本語だけで完結してしまっているような空間にいると、ちょっと新鮮なお話に聞こえました。そのうち時間が出来たら、何かマイナーな言語に接してみようかな。