新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ファーウェイだけではなく?

The Economist 2月2日号のLeadersは、現在世界の耳目を集めているベネズエラの混乱に関する記事がトップです。3番目にファーウェイ事件の現状に関するかなり厳しい論評が載っているので、今日はその記事について。

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記事を読んで改めて認識させられるのは、果たしてファーウェイが問題のある会社なのかどうかではなく、すでに5Gネットワークの構築について同社が圧倒的な競争力を有していること、にもかかわらず技術の盗用やスパイ行為などについて明らかな違法行為が繰り返されていたこと、そして有事の際にはネットワーク管理について大きな脅威となることなど。さらに議論が同社をどのように締め出すことができるか、そのためのコストはどうなるのかというところに行っているという点ですね。

幸か不幸か(?)、日本ではすでにファーウェイ対策が取られつつあり、警鐘を鳴らす動きも先行していたようです。

ここで気になるのは、このような会社は果たしてファーウェイだけなのか?ということではないかと思います。なにせ国の仕組みが違うので、日本の常識では軽々に判断できない要素があり、慎重な対応が必要なのだろうとは思いますが、いずれにしても要注意だと思います。

セグウェイに起こったこと

11月22日号のThe Economist誌はBusinessで、アメリカで始まった立ち乗り2輪車(セグウェイという名前をご記憶でしょうか?)の技術が、いまどのようなビジネスになりつつあるのかについて、いささかビックリの内容とともに伝えてくれています。

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記事によると、現在セグウェイ社を所有しているのは中国のキックスクーター製造メーカーだったナインボットという会社だそうで、立ち乗り2輪車の特許侵害についてセグウェイが訴訟を起こした直後に買収した(当然ですが訴訟は必要なくなります)とのこと。ちなみに買収総額は公表されていないそうですが。

ナインボットは、現在世界各地のライドシェア会社などにOEMでスクーターを出荷しているそうですが、経営の方向性としてはメーカーというよりもむしろAIとロボット技術を使ったベンチャー企業という感じで、現在投資を進めているのがオフィスの中まで郵便や物を届けてくれる自動配達システム、だそうです。経営者によると、立ち乗り2輪車の技術はセグウェイと訴訟になった段階ですでに自社開発していたのだそうですが、買収はセグウェイが持っていた400件にも上る特許をそのまま自分のものにできたという点でメリットがあったようです。

いわゆるGAFAを含めたアメリカ発のニュービジネスは、成長軌道に乗った会社は当然ながら、セグウェイのように将来を期待されてその後どうなるか、という企業くらいだと中国に買われてしまったという事例はこれだけではないのではないでしょうか。

日本勢で頑張っているのはソフトバンクくらいかもしれませんが、ナインボットにとっての立ち乗りスクーターのように、成長性のあるビジネスは買ってきてそれから大きくする、という取り組みもまた「あり」なのだろうと思います。そう考えるとビジネスの世界はまた面白い。

サウジアラビアの憂鬱

10月27日号のThe Economist誌は、巻末のObituaryで先ごろトルコのサウジアラビア大使館で殺されたジャーナリストのジャマル・カショギ氏の人となりについて伝えています。

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 曰く、そもそも体制批判を行うタイプのジャーナリストではなかったとのこと。元来は穏健なジャーナリストとして、どちらかというと体勢寄りの立ち位置にいることが多かったようなのですが、近年になってカタールとの対立関係なども含め、本来アラブのリーダーを自認していたはずのサウジアラビアのスタンスが次第にそうでなくなることへの警鐘を鳴らすようになっていったそうです。

 2015年には自らバーレーンで立ち上げたニュースチャンネルが、地元の政治運動家にインタビューしたというだけで開局当日に閉鎖されるという経験もしたのだとか。

 その後、モハメド・ビン・サルマン皇太子が実権を握るに至って、カショギ氏は皇太子への批判を隠さなくなったのだそうですが、それはサウジアラビアの王族の誰もがこれまで当たり前だと考えてきた、政治的自由や透明性を担保しようとする意見の枠を出ないもの、だったようです。

 自らの結婚のため、抱えていた3件の離婚(!)に決着をつけることが大使館訪問の目的だったのだとか。

サウジアラビアを巡って、この記事のような全体観を伝えてくれる報道は、日本語メディアではたぶんお目にかかれないのではないかと思います。そうみると今回の事件は、今後彼の国に起きるかもしれない大きな変化の序曲、なのかもしれません。

難しい課題

The Economist誌10月12日号のLeadersそしてScience and technologyのページには、先ごろまとまった国連気候変動枠組み条約政府間パネルによる報告書についての解説記事が出ています。日本でも大手メディアがこぞって伝えた内容ですが、改めて取り上げてみたいと思います。

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一寸驚かされたのは、報告書の規模ですね。44ヶ国から参加した91名の研究者によりまとめられた1200ページの報告書は、作成にかかった3年のうちに世界中から4万件のコメントがあったそうです。

次に感じたことは、以前だと科学的に信ぴょう性が疑問視されることもあったと思うのですが、報告書の1割について以前議論は残るものの、残りの9割についてはほぼ100%の人が合意するというくらい、気候変動とその影響についての問題意識は全世界的に高まっていることへの期待感です。

1992年の地球サミット以来、非公式ながら数値的な共通指標とされてきたのが「産業革命以前にくらべて摂氏2度の平均気温上昇」という考え方だったのが、詳しい分析ができるようになったこともあって、今回の報告書では「1.5度までに押さえよう」という考え方が強く打ち出されているとのこと。

この差は意外に大きく、たとえば2度の平均気温上昇では全世界のサンゴ礁の99%が死滅することが予想されているところ、1.5度に止まれば10~30%のサンゴは生き残り、その後の気温が安定すればサンゴ礁そのものの回復も期待できるのだとか。

ただ、現状のペースで温暖化が進むと、摂氏3度を超える平均気温上昇が予測されているところなので、それを2度よりさらに下、1.5度に押さえるためには大変な努力が求められることは火を見るより明らかです。

たとえば二酸化炭素の回収・貯蔵技術について。随分前から話は出ていますが、実際に運転している事例はまだ多くないようですし、それまではタダで排出していたものにおカネをかけて集めることをどうやってファイナンスするのか、も難しい問題です。

以前から私が主張しているのが原発の再稼働なのですが、羹に懲りて膾を吹くということわざがあるとおり、そもそも議論の対象とされていないようなところがあり、どうしたものかと思わされてしまいます。

電気自動車の開発も、再生可能エネルギーの普及も、それはそれなりに意義のあることですし、重要な課題だと思うのですが、それらを総動員しても難しい目標が1.5度であることをまずは共通認識化すること、でしょうかね今の僕らにできることと言えば。

嵐は世界中で

The Economist誌9月22日号のInternationalには、かなりの長文ながら、世界中で発生している台風やハリケーン、サイクロンなどの脅威についての記事があります。

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曰く、海水温が全世界的に上昇しており、海水面も毎年3mmずつ高くなっていることと併せて考えると、嵐はより強力になってゆく(!)のではないかとのこと。

特に衝撃的なのが、海面下2000mまでの海が蓄えた熱の量に関する経年変化を示したグラフで、1990年代半ばに平均値を超えた後は右肩上がりで上昇しており、海の水が温まっていることが一目でわかるものになっています。

日本では、台風の被害と言うとどうしても国内の災害に焦点が合ってしまいがちですが、むしろ世界的な災害対策の議論を推し進めるべきなのではないか、記事を読んでいてそんな風に感じました。

アメ車はどこで作られている?

8月25日号は、たぶん夏休みの影響ではないかと思うのですが、The Economistにしてはキレの良くない記事が続きまして、読んでいてもちょっとつまらなかった。

でもその中で、これは面白いと思わされたのか、アメリカの自動車産業がトランプ政権の貿易政策でどのような影響を受けるのかについて分析した記事でした。

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曰く、最もアメリカ製比率の高いフォードのピックアップF-150でも、15%がカナダとメキシコから、もう15%がNAFTA域外からの輸入部品に頼っているのだそうです。

そういう目で記事の中にあるグラフを見ると、アメリカで売られたクルマのうち、フォード車は80%以上がアメリカ製なのだそうですが、ホンダが60%、トヨタでも50%はアメリカで生産しているというのに、驚くなかれクライスラーは全車両の5%くらいしかアメリカで生産していない!のだそうです。日本ではあまりお目にかからない数字ではないかと思いまして、敢えて再掲いたします。うーん。

 

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やや危険?

いささか旧聞に属しますが、ソフトバンクサウジアラビアの政府系ファンドから出資を得て、先端技術開発案件への投資を加速させるというニュースがあったのをご記憶の方も多いと思います。

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The Economist誌は8月18日号のLeadersで、同国の政治を動かしていると言われるムハンマド・ビン・サルマン皇太子の最近の行状について、投資家の立場に立った素直な疑問を呈する記事を掲載しています。

https://www.economist.com/leaders/2018/08/18/muhammad-bin-salmans-capriciousness-is-hurting-saudi-arabia

曰く、カナダの外務大臣ツイッターで、サウジアラビアは平和的な抗議を行う者を拘束すべきでない、という発言をしたことに対抗して、皇太子は駐サウジアラビアのカナダ大使を国外追放し、二国間貿易を遮断、カナダの医療機関にかかっていたり、カナダの大学で学んでいるサウジアラビア人に、カナダ以外の国のサービスを使うよう強要したのだそうです。

女性の自動車運転を認めたり、テーマパーク開発に乗り出したりと、比較的評判の良い報道が多かった皇太子ですが、今回の出来事はちょっと、という感じですかね。

ソフトバンクのプロジェクトが影響を受けなければ良いのですが?