新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

払えない、払いたくない

6月27日号のFinance and Economicsに、アメリカの住宅ローンに関する興味深い調査結果が載っています。住宅価格の下落により、住宅価格の実勢がローン価値を大きく下回るようになったことで、「住宅を売却した以上の返済義務を負わない」という契約条項を利…

悩める国

6月27日号のAsiaですが、インドに関する二つの記事が載ってます。ひとつは西ベンガル州を中心として広がる「毛沢東主義者」と呼ばれる貧困層の反政府活動について。ネパールでも有名になりましたが、この地方の底辺の貧困層にとって本場・中国では歴史的遺産…

長い目で見た財政

6月20日号のEconomic focusです。オバマ大統領の経済対策アドバイザー・不況対策学識経験者委員会という諮問委員会の議長をしているクリスチーナ・ロマー女史が、はたして不況から脱出できるかどうかという現状と、1930年代後半の不況を比べてとても興味深い…

遅い!

6月20日号のLeadersとBusinessに、久しぶりに日本の記事が載ってたのですが、ある意味ステレオタイプな話ながら「日本株式会社」の構造改革の遅れに関する批判、でした。細かい誤解や伝統的な無理解も垣間見えるのですが、最近の日本経済を見るに、改革の停…

全体主義、もしくは権威主義のほころびとは

6月13日号のMiddle East and Africaですが、私の注目はイランの大統領選挙後の混乱についての報告記事と、それに対する読者コメントです。面白いことに、イランやイスラムを批判する欧米の読者以上に、イランもしくはイスラム社会に属する方々からのコメント…

貸したり、借りたり。

6月13日号のLeadersを読んでて思ったこと。まずひとつ、アマゾン流域を中心とした熱帯雨林の伐採とCO2排出の関係について。木を切る→CO2が大気中に出る、といってもそのCO2は増えたわけではなく、もともと木の中に蓄えてあったわけで。純増分との微妙な差が…

公的債務と言う憂鬱

6月13日号、Leadersのトップはアメリカを始めとする先進国で高まりつつある公的債務への懸念について、です。 そりゃあ皆さん心配でしょうって、稼ぎ(GDP)に対する借金の割合で言ったら、先進国と言われる国々ほど実態は悪くなっていることに驚きを禁じ得ま…

ボディブロー

6月3日号のLexingtonは、GMの破産法適用に関して、アメリカンドリームの一パターンであったと思われる高卒ブルーカラーのライフモデルがもはや通用しないという現実についての報告です。高卒で、自動車製造ラインに入り、家を持ち、家族を養い、30年ほど働い…

ロシア、強さの裏には

6月3日号、LeadersのあとのBriefingは、原油価格の下落に見舞われたロシアの現状についての報告です。短い記事ながら、実に読み応えがあります。ソビエト崩壊以降、市場経済や資本主義への衣替えを中途半端に終わらせたロシアが資源価格高騰で潤い、その中で…

自動車産業は恐竜か

6月3日号、Leadersのトップです。連邦破産法の適用を受けて、切り売りされる運命となったGM社についての記事ですが、自動車産業を恐竜扱いするという、ある意味では屈辱的ともとれるタイトルがついています(Detroitosaurus wrecks)。これを見て、日本の自動…

米国債は安全か

5月30日号です。 今週号のButtonwoodsは、世界の通貨である米ドルを発行するアメリカ政府の国債が、決してリスクのない投資だとはいえない、との論評です。中身だけ見れば今に始まった話ではなく、為替のリスクもあるでしょ、的な話なので、なぁーんだ、と思…

脆い理論武装

5月30日号のInternationalで考えさせられたのは気候変動に対する対応があまりにヤマカン頼みではないかとの批判と、さらなる英知の動員を呼びかけるその結論について、でした。確かにヤマカンかもしれません、その多くは。科学的に見れば「地球全体は冷えて…

お決まりの。

5月30日号のBanyanは、この時期のお約束どおり天安門事件と中国、です。文中で記者が感慨深げに振り返っているとおり、20年前はだれが現在の中国を予想しえたか?共産主義体制を保ったままの安定と繁栄と、そして将来への布石など、その当時は望むべくもあり…

大きいか、小さいか、ではなく

5月30日号、Leadersのすぐ後のBriefingです。オバマ大統領のものとおぼしき手の写真がついた記事のタイトルはThe visible handとなっていて、かのアダム・スミスが国富論で説いたという「神の見えざる手」(The invisible hands of God)をもじってつけられた…