新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2010-01-01から1年間の記事一覧

大晦日に思うこと

さて、今年も最後になりました。1月1日号から何か書くのが通例ですが、ちょっと違反して今年の変化を。 まず、何といってもiPhoneで読めるようになったことですかね。昨年来、しっかり読むのはパソコン版という状態が続いていましたが、簡単に単語が調べられ…

2011年の一発目

ネットでは、2011年1月1日号が流れています。ざっと眺めたところ、日本を基軸にした記事は見当たらず、読者からの手紙に2編ほど、先日の日本特集についてと思われる意見が載っていました。一つは一橋大学のアオキリエコ先生からの投書で、日本の将来を子供た…

新しい国が出来るとき

2010年もあと3日弱となりました。 今日はウェブ版から、「2011年の世界」に掲載された記事「193番目の国」について。日本ではあまり注目されていませんが、来年早々にもアフリカのスーダンで南部の州が「サウス・スーダン」として独立するかどうかの住民投票…

なぜ企業は存在するか

クリスマスで今週はお休みのThe Economistです。12月18日号のSchumpeter(久しぶり!)では、Ronald Coaseという経済学者が唱えた「市場経済に企業はなぜ存在するのか」という考え方に関するおさらいが載っています。曰く、全ての取引を市場に依存するより効…

ずいぶんとのんびりとした

12月18日号のInternationalには、いささか旧聞に属しますがメキシコ・カンクンで見るべき成果もないのみ成功裏に終わった(?)と揶揄される、国連気候変動枠組み条約COP16の結果についての記事が載っています。これまで私は事あるごとに、The Economistの最…

奇術師よりはまだ

12月18日号のUnited Statesには、政策決定を巡るさまざまな圧力に待ったなしの状態が続くオバマ政権の現状を、ハリー・フーディニが実演して見せた数々の短時間脱出芸になぞらえた論評が出ています。曰く政治家、しかも大統領が直接担当するべきものかどうか…

年をとるのはそんなに悪いことじゃない

12月18日号のLeaders、トップ記事はアメリカで発表された年齢と幸福度の相関がU字型曲線を取るという話についてのあれこれでした。年をとると、ふつう体力や容貌は落ち、病気にかかりやすくなったり記憶力が衰えたりする中、お年寄りは若い人よりも「幸せだ…

アメリカ高速鉄道

12月11日号のUnited Statesに、高速鉄道こそ新しいアメリカの長距離交通手段だ、と訴えるオバマ政権と、政治案件につきものの利権構造とも絡んでか、反対の立場をとる共和党との確執が書かれています。考えてみれば都心から遠い空港まで車で出かけ、厳しい手…

見えていないこと、そしてWikileaks

12月11日号です。Leadersは、経済政策で不協和音が聞こえるアメリカとEU、そして新興国の思惑違いについて、改めて付き合いに工夫が求められるロシアについて、今話題のWilileaksについて、中東和平について、そしてかつてはアフリカの優等生だったはずなの…

今週は中国特集です

12月4日号は中国に関する特集記事が厚く載っています。あと目立つのはLeadersでウィキリークスへの論評があること、日本の政治の混迷に比べて、NHKが訪英した竜馬伝や坂の上の雲などドラマに込められた制作者の思いなどが書かれていることなどでしょうか…

とりあえず

11月27日号です。カンクン(メキシコ)で開かれるCOP16を見据えて、気候変動とどのように生きてゆくか、というタイトルがつけられていますが、Leadersのトップもこの記事です。そのほかは、移民政策の見直し、スペインへと伝播しそうなユーロ危機、金融緩和…

日本は変われるか

ネットではすでに11月27日号が流れていますが、各メディアが報じた11月20日号の「The Economistによる日本特集」についてぜひ書きたいと思いまして、少し私見を述べます。人口減少、無策の政府、外国人受け入れ、企業文化、イノベーション、年金問題、アジア…

えらく注目されているようですが

ちょっと忙しかったので間が空きました。 11月20日号の表紙と特集は「日本」です。新聞や、テレビのニュースでもちょっとだけ(「特集された」という程度かな?)報道されてましたね。まずはLeadersから。 アメリカの財政赤字と対策としての課税に関する特別…

やっぱり駄目だって。

11月13日号のLexingtonでは、最近刊行されたブッシュ前大統領の回顧録についての書評、というかブッシュ政権の再評価についての論評がなされています。曰く、オバマ大統領が金融危機に対面しなくてはならなかったように、ブッシュ大統領も9.11への対応を迫ら…

ようこそ中国

11月13日号がネットで流れています。今週は特集記事こそないものの、資源開発やインドの低価格自動車など、興味深い話題を取り上げた記事がいくつか目につきます。まずはLeadersですが、国際市場における中国資本の動向と将来展望、商品市況とトレーダー、漸…

功ありし者、巧ならずとも

11月6日号のObituaryは、先ごろ亡くなったロシアの元首相、ビクトル・チェルノムイジン氏の後半生についての記事でした。元々資源屋さんだと思うのですが、若くてカッコ良く、弁が立つガイダル首相に代わり首相に指名されたときは、その風貌や巧言とはいささ…

困ったもんだ

11月6日号のAsiaには、尖閣諸島問題を巡る日中関係の悪化に関する記事が出ていますが、ビデオ流出前までの状況についての報告で、記事の内容としてはさして見るところがあるわけではありません。で、読者コメントなのですが、中国のプロパガンダ要員と見られ…

あるいはもしかしたら

11月6日号のLexingtonは、米中間選挙後の共和党が直面する悩みについて書いています。すなわち、今回の勝利は共和党の勝ちだったのか、民主党の負けだったのか。後者だとしたら、それはオバマ政権の政策に関する全否定なのか、あるいは単に景気が悪いことへ…

選挙の後で

11月6日号、Leadersのトップは米中間選挙後の同行に関する論評です。基本的には「第一次クリントン政権下で、批判のための批判を続けたことにより却って民心の離反を招いた」当時の共和党を例に引きつつ、同じ愚は犯すなというのがそのメッセージです。ブッ…

うつろな社長

11月6日号のBusinessには、日本の経済界における「サラリーマン社長」の蔓延により、強いリーダーが出てこなくなったとの論評がありますが、これは何も日本に限った話ではないだろうと思います。西欧もまた市場の成熟、経済の停滞、人口減少、規制緩和の遅れ…

ユーロ圏まだら模様

10月30日号のEuropeには、昨今のユーロ圏経済をざっくりと切り取った記事が出ていまして、概観を見直すには好適と思いましたので取り上げます。まず、「ユーロ安に支えられた輸出で好調」なのはドイツとその近隣諸国、加えてフィンランドだそうです。こなた…

意外にも

10月30日号のLexingtonは、中間選挙で注目されたティー・パーティと呼ばれる保守層のありようについて興味深い記事を載せています。まず、保守的であると言われる彼らは決して右翼的でも、人種差別的でもなく、建国の基盤となった重税や大きな政府への批判を…

ダメになる人の共通項

10月30日号のLeadersトップ記事は「怒れるアメリカ」ということで、中間選挙を間近に控えてオバマ政権への風当たりが強まりつつあるアメリカについての記事でした。クリントン国務長官を含め、かつての仇敵も仲間に取り込み、民主党政権もしくは内閣としては…

12回目の約束

10月23日号のFinance and economicsには、1957年にセメント、銑鉄、鉄鋼生産の目標値を定めたことにはじまった中国の第一次五カ年計画を引用しつつ、中国政府が12回目のそれを発表することが間近になったことに関する論評がなされています。「約束された」経…

注目されてます

10月23日号のAsiaには、鉱物資源開発で沸くモンゴル経済の先行きについて。人口250万という小規模国家ながら、莫大な地下資源を持つと言われる同国は、片や政治の腐敗が言われつつ、こなた民主的な選挙で政権交代を果たした国でもあり、中国とロシアの狭間に…

自由への胎動

10月23日号のAsiaには、中国の民主化についてちょっと注目したくなる報告がありましたのでそれについて。中国のメディアが政府による規制の対象となっていることは周知の事実と思いますが、自由化の胎動とも思える活動家への支援が、かつてのように海外の篤…

さすがにちょっと

ネットでは10月23日号が流れています。 Leadersは、中国の新しい「皇帝」について、好調なトルコ(経済)について、ブラジルの大統領選挙について、懸念されるアメリカの不動産市場について、生物多様性条約について、英国の予算(と赤字)について、となっ…

反省の辞?

10月16日号、Finance and economicsには、The Economistお得意のBig Mac Indexについての反省のコトバとも取れる記事が出ています。とはいえ、基本は為替についていびつな状態が続くドルと人民元の相場についての話で、アメリカで4ドル近くするビッグマック…

通貨安定のためには

10月16日号のLeadersおよびFinance and economicsには、基軸通貨としてのドルそして米欧先進各国共通の通貨価値の毀損と、それにどう対応するかという記事が載っています。かつて、大恐慌の後に発生した通貨切り下げ争いが、結局のところ世界経済の収縮を招…

いささか違った視点

オンライン版のトップ記事のひとつに、中国がガーナで経営するビジネススクールについての話題が出ていました。先進各国が世界展開するビジネススクールは、アジアの途上国や経済移行国にもそれなりの広がりを見せており、実際のところ、今回ガーナで初めて…