新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2006-01-01から1年間の記事一覧

来年に寄せる期待に併せて

年末の書き込みです。次に書くときは2007年になっているはずです。やたらと忙しくて、12月16日号が読めていないのですが、それでもとりあえず、2007年に寄せる期待として。①2006年は全く、さっぱり、どうしようもない年だったかもしれません。それでも生きて…

クリスマスの前に

昨日も書きましたが、The Economist12月23日号は、クリスマス合併号ということで通常の2倍弱のボリュームがあります。といっても先週から一週間しか経っていないこともあり、時事ネタ満載、というわけでもなく、ページが増えた分はいつもは書けない解説記事…

イラクの今

年の瀬、クリスマス、政府税調会長の辞任、その他・その他で本来ならもっとニュースになってもよいはずのイラク情勢は混迷が常態化したらしく、あまり上位で伝えるメディアが見当たりません。あってもそれは「自爆テロで何人死んだ」的な事実報道に終始して…

英語を話す人々

12月16日号は、Britainのページで世界各国の英語習得熱と、それに合わせた英語そのものの変質について論じています。それによると、外国語で自分の考えを言える英国人は3割程度で、ハンガリーに次いだ(おそらく欧州では)低さだとか。教育問題とも絡み、ど…

サハリン・その後

12月16日号はLeader巻頭に続いてBusinessのページでも、サハリンⅡを巡る不透明なロシアの介入について報じています。「その男を渡してくれれば罪は何とでも見つけてやるさ」ロシア当局のエネルギー開発に関する横車(?)を、The Economist誌は税金不払いを…

危ないロシア

12月16日号はLeadersのトップでサハリンⅡプロジェクトの株式の過半数が地元ガス大手のガスプロムに買い取られることになったという事件を切り口としてロシアとつきあうリスクについて取り上げています。日本ではあくまで民間直接投資のプロジェクトに関する…

食事と政治の距離

12月9日号はSpecial Reportとして、フェアトレードなど食に関係する消費者行動について鋭い論評を載せています。曰く、有機栽培の野菜は化学肥料栽培の野菜に比べて単位面積あたりの収量が落ちるため、より多くの耕地を必要としその分環境を破壊する惧れがあ…

欧州的価値を巡る議論

12月9日号のCharlemagneは、倫理観を巡って欧州の政治家が盛んにコメントを発していることを紹介しています。事の発端はパリの枢機卿が人気テレビ番組の紹介した胎児基礎細胞Stem Cellを使った研究への助成に対して「人間の胎児を破壊する行為への支援」とコ…

反米左翼政権、の実態

12月9日号はThe AmericasのページでラティノバロミトロというNGOによる、中南米諸国における政治に関するアンケート結果を載せています。それによると、民主制が独裁制より望ましいと答える人の比率がどの国でも高く(但し低い中ではペルーが民主制に疑問符…

ブッシュの後の、大洪水

12月9日号は、アメリカの政界観察記事を載せるLexingtonのページで、ブッシュ大統領の後釜争いが、かつてない混戦となりつつあることを各候補者に関する短評も交えて表題のようなタイトルで紹介しています。その切り口がThe Economistが個々の政治家をどう見…

Don’t do it !

12月9日号は、Leaderのトップでベーカー元国務長官とハミルトン元下院議員他のイラク・スタディ・グループによる勧告を「採用・実施すべきでない」との明快な論評を紹介しています。内容を詳しく読んでいくと、勧告の内容を頭ごなしに否定しているわけではな…

Technology quarterly

12月2日号のTechnology Quarterlyでは、いくつかの目からウロコの記事がありましたので紹介します。と言っても、いつものTQと比べると今回ははっきり言って不作で、未来の記事を書くのにモバイルスイカやおサイフケータイ、NINTENDOのWiiなんかを例に引く…

中東和平とアメリカの困難な道

12月2日号は、Special Reportで中東和平問題を4つの違う切り口で分析、United Statesでイラク問題の打開に必要な実務家としてのジェームス・ベーカー元国務長官への期待(イラク研究グループをハミルトン元下院議員とともに主催)、Lexingtonで米国共和党の…

ボルトン国連大使(米)

12月5日のニュースの中に、ボルトン米国連大使が新年早々に辞任するとの速報記事が散見されます。+http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3440053.htmlここしばらく、The Economist誌も同大使の先行きを案じる記事を載せていました。 歯に衣着せぬ物言…

読者の声

12月2日号のLeadersは、ドルの下落懸念、キリスト教対イスラム教、ロシアのソ連化に関する懸念、携帯電話が持つ文化的特徴の分析、それにインドとアメリカの核を巡る関係について書かれています。面白いのは携帯電話がクルマに似ているという記事で、どちら…

本とのつきあい

自分で言うのもいささか気が引けますが、私は本を良く読むほうだと思います。実際に統計的な数字と比較してみたことがあるわけではありませんが、毎月軽く一万円以上は本につぎ込んでいるように思います。なお、長期購読しているThe Economistの代金はこの予…

アメリカ資本市場の曲がり角

11月25日号は、Finance & Economicsの前のSpecial Reportでアメリカ資本市場の相対的地位低下について論じています。ちなみに、編集長が代わったせいか、最近やたらとSpecial Reportという括りの記事が目立ちます。もとい。株も債権も、商品取引も、それまで…

ザ・ユニバーサル・ダイアリスト

11月25日号はBusinessのFace Valueのページでブログビジネスの星、Six Apart社の若き女性社長、ミーナ・トロットをその笑顔のアップとともに紹介しています。大学を卒業して間もない23歳の頃、ブログの使い勝手をよくするソフトを夫に作ってもらって(23で結…

中国の自動車産業

11月25日号はBusinessのページトップで「速いもの、凄まじいもの」という見出しで中国自動車産業の活況を伝えています。海外大手メーカーの現地生産が相次いだ数年前とは変わり、現地メーカーの自主生産が進んでいること、北京オートショーでは現地メーカー…

ミルトン・フリードマンを悼む

11月25日号は、Leaderに加えてFinance and Economicsのページの後にSpecial Reportを組んで、都合3ページにわたり新古典派経済学の巨星を追悼する記事を載せています。題して「5フィート2インチのヘビー級王者」という記事は、ケインズ経済大流行だった50年…

NATOの明日

11月25日号は、冬休み前の感謝祭明けで、忙しい人が多い週ということなのかどうか、特集記事もなくページ数も少なくて、さらっと読み通せそうな分量です。 まずLeadersですが、まずはWall StreetもしくはNYSEやNasdaqについて、多極化する証券市場間の競争に…

メルケル政権のドイツ

11月18日号のSpecial Reportが取り上げているのは、大方の予想を裏切って好調な政権運営を続けているAngela Merkelとドイツの現状についての分析です。比較対照とされているのは先代首相のシュローダーです。曰く、内政重視でスタートするだろうと思いきや、…

11月18日号

帰国して手に取った11月18日号は、またぞろ面白い記事が目を引きました。表紙とLeaderの一番手は環境ビジネス(再生可能エネルギー)に関する論評として、短期的には難しいかもしれないが長期的には何とか、という記事でした。他のLeaderはイラク・シリア連…

Economistのない日

自宅には購読しているThe Economist誌が、毎週土曜日か、おそくとも日曜日には配達されてきます。今回はイスラム圏の国へ出張ということで土曜日の朝出発だったため、11月18日号を受け取る前に家を出てきてしまいました。どうせ帰ったら見られるさ、と思うと…

経済学の話題

11月11日号はEconomic Focusのページでインフレと物価の話題を取り上げています。主要先進国がインフレ抑制に成功しており、総体的な物価が安定的に推移している現状に対して、ハーバード大学大学院生のナカムラ・エミさん他による研究では、個別品目の物価…

格差社会 in Germany

11月11日号はEuropeのページで、ドイツに見る新たな格差社会の兆候について伝えています。「格差社会」は、最近日本でも一寸気になるキーワードなので思わず目に留まってしまいました(本文のタイトルは"Class concerns"すなわち階級の懸念、となっています…

米中間選挙(締めくくり)

11月11日号は、Leaderに加えてSpecial ReportとUnited Statesのページを割いて、中間選挙の総括をさまざまな切り口から論じています。外交・内政、民主・共和、保守・リベラル、各州、地域、年齢(民主党の大所は高齢者ばかり、との論評)などなど。つぶさに…

選挙の後に

11月11日号は、Leaderのトップに米中間選挙で「予想外の大敗」を喫したブッシュ政権が弱体化するとの見通しとあわせて、それがむしろ革新の機会となり、今後の政権運営を改善するきっかけになるかもしれない、との予想を立てています。それ以外にLeaderでは…

英語で本を読むと言うこと

たまの土曜日は、記事の紹介から離れて思っていることを書いてみようと思います。The Economistもそうですが、英語で本を読む場合、日本語で読む本に比べると私の場合明らかに時間がかかります。それは単語や読解の力による部分も大きいですが、やはり何と言…

なぜ経済学者は帝政が好きなのか

11月4日号のEconomics Focusは、いつにも増して洞察に満ちた評論を提供しています。日本と旧植民地諸国(これに中国を加えても良いでしょう)の間にしばしば見られる摩擦、すなわち「植民地時代に日本は良いことをした」とのテーゼに対して起こる反発が、た…