新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2009-01-01から1年間の記事一覧

明日への期待

The Economist誌の配本がクリスマス特集で一週お休みのため、今年の最後を飾って今日は記事から離れたことを書いてみます。The Economistを読み始めて、もうかれこれ17年になると思うのですが、その間残念だったのは同誌を凌がないまでも何かキラリと光る活…

巨星落つ

クリスマス特集の12月19日号ですが、てっきりObituaryのページと思っていたら、なんとEconomic focusを飾ったのが経済学の巨人、ポール・サミュエルソンMIT名誉教授の逝去に関する記事でした(そういえば確かフリードマンが亡くなった時もそうだったよう…

なんでアメリカが?

12月19日号のクリスマス特集、「上手くゆくねずみ講」(A pozi scheme that works)という記事では、なぜ今でもアメリカに移民が集まるのか、についての興味深い分析があります。故郷のしがらみからきれいに逃れ、新たなコミュニティに属することについて、世…

内憂、といえば

12月19日号のLeadersには、中国政府の現状に関する興味深い論評も載っています。 曰く、「党内の、内なる民主化」へのあくなき取り組みについて、みたいな話なのですが、胡錦涛主席も認める中国政府の課題として、政権内部の自浄性が低いこと、競争原理が取…

これは挫折ではないのだろうか

ちょっと寄り道で、Web版のCOP15に関する記事"Better than nothing"について。まず、やや象徴的だったのが、何らの法的拘束力を持たないコペンハーゲン宣言が採択されることに関しての記事を飾る写真が、米オバマ大統領、仏サルコジ首相、英ブラウン首相、独…

混乱の終わりと、不安のはじまり

12月19日号がネットで流れています。 Leadersのトップは世界経済危機の現状について。9月のピッツバーグ合意以降、G20各国の緊急経済対策(特にアメリカと、中国が注目されていますが)のおかげで、どうにか一息ついた感のある国際経済ですが、その実は依然…

比べてみれば

最近あまりじっくり見たことがなかったのですが、今日はひさしぶりに12月12日号のEconomic and financial indicatorsに目を通してみましょう。といっても、全体感は推して知るべしで、どこを見ても(特に日本については)あんまりよいことは書いてありません…

詰まった燃料パイプ

12月12日号のFinance and economicsには、ヨーロッパで最近顕著な「貸し渋り」についての報告があります。いわく、企業サイドに資金需要が出てきても、銀行の体力が回復しておらずそれどころではない状態とのこと。なんとなく数年前までの(中小金融機関は今…

落ち目?でもなかなか。

12月12日号のBusinessですが。 まずはアメリカの企業統治に関して、取締役会が対応しなければならない規制がどんどん増えてきていて、取締役の仕事も様変わり、という話。アメリカのように所有と経営の分離が進んでいる国ならではの話と思いますが、日本にそ…

国際協調の難しさ、改めて。

12月12日号のInternationalでは「汚れた取引が大気を汚す」(Filthy lucre fouls the air)とでも言うようなタイトルで、コペンハーゲンで続いているCOP15について伝えています。事実はこの記事よりもう少し進んでおり、このタイトルの裏の意味とも思える、一…

集まって、何をするかというと

12月12日号のAsiaですが、珍しいところでトルクメニスタンの現状と、同国が産出する豊かな天然ガスの行方についての記事がありました。まだ国の基礎も固まっていない段階ではないかと思うのですが、二代目大統領となった歯医者さんは、先代から続く専制的な…

予兆

12月12日号のLeadersトップは「トヨタのちょっとした間違い」というようなタイトルで、全般的にぱっとしないトヨタの最近、特に財務状態についてやや気の早い警告?とでも取れるような記事になっています。仮にトヨタが苦しいとしたら、いやらしく続く円高に…

気候変動に関するおはなし

ネットでは12月5日号が公開されています。Leadersのトップは、今月中旬からコペンハーゲンで開催される気候変動サミットについて。この数日、メディアでも中国に続いてインドが二酸化炭素排出削減目標の数値による表明を行った、という報道が出ていますが、…

多様性を宝だと思う理由

11月28日号のおしまいより一寸前のBriefingには、「ヒットの世界」と言うタイトルで来月には世界で公開される予定の映画「アバター」の成功水準が500百万ドルを下回ると市場の失望を呼びかねないことを書き表しています。全世紀末には年間471本程度だったア…

恐るべからざる投機

11月28日号のFinance and economicsですが、目に付いたのは中国国内であふれかえるマネーの話。「豚インフルエンザに効くらしい」との流言(?)がきっかけになり、暴騰したのはニンニクだそうです。3月以来の変化は生産者価格でなんと40倍。おなじように上…

デフレだってさ

11月28日号のLeadersです。まず最初は、ブッシュ前大統領の頭ごなしスタイルからがらりと変わったオバマ大統領の外交姿勢に関する一文ですが、要するにもっとピリッとしろ!というメッセージであるように読めなくもありません。二番目はEUの欧州委員会委員長…

ひさしぶりに

出張でようやくネット環境の安定した国に来たので、久しぶりにThe Economistのウェブ版を覗いてみました。すると11月20日の記事(ウェブ版限定)で、またまた日本にデフレの気配?という記事が出ていて、さもありなんと思っております。鳩山政権になって…

食の巨人

すでにWebでは11月14日号が公開されていますが、11月7日号のSchumpeterに日本ではあまり報じられていない巨大な合併商談に関する論評があったので少し。アメリカの食品大手、クラフトがイギリスのチョコレートメーカー、キャドバリーを買収するという話なの…

ばれちゃった。

11月7日号のWeb版を眺めていたのですが、一寸後半の、BusinessのあとのBriefingで日本のものづくりや中堅企業の技術力に関する記事が出ていました。なぜ日本の会社が終身雇用なのか、他社と合併しても混合しにくいのか、技術水準が高いのか、株主より社内を…

ビジネスのネタとは

10月31日号のBusinessですが、これまでのFace Valueという経営者紹介のページから、Schumpeterという学者の名前を取った評論に内容が置き換わっています。そのページがFish out of waterというタイトルで、不況対策・失業対策に政治主導の対応として企業家精…

国境紛争のかたち

10月31日号のBanyanは、インドと中国を巡る国境付近の土地の帰属に関する係争について報告しています。 第二次大戦や、英国による植民地支配等の影響もあって、国境と首都機能を十分に定義づけないままこれまで時代が続いたことが、国境の土地問題を言わば「…

立ち往生?

10月31日号のLexingtonは、就任一周年を間近に控え、その成績や手腕にいやでも注目が集まるオバマ米大統領についてでした。で、残念ながらイラク、アフガン、国民皆保険、地球温暖化対策のどれもが未だ解決途上にあり、最も周囲の心配を招かずにいられないら…

仕事がない景気回復

10月31日号のUnited Statesは、ついにアメリカが景気回復基調に入ったらしいこと、にもかかわらず依然として失業率は高く、一般人には景気回復を実感できない状態が続いていることを伝えています。確かに数字だけ見ていれば、四半期ごとのGDPは第二四半期に…

世界人口の減少

10月31日号です。 Leadersのトップは、世界各国で続く出生率の低下がこのままでは2020-2050年のどこかで、世界の人口が減少し出す惧れがあることを報告しています。すでに日本は人口減少フェーズに入っていると思うのですが、どうしてだか先行事例として参照…

ドルの落日

10月24日号のLeadersに、ここ最近顔を出しては消えていた国際基軸通貨に関する議論が再度紹介されています。止まらないドル下落とアメリカの財政状態悪化がその主な論拠のようなのですが、ドルが基軸通貨として使われなくなることへの警戒感についての話です…

地球温暖化問題の今後

10月17日号のInternationalには、12月にコペンハーゲンで予定されている温暖化サミットの前哨戦となった実務者会合の成り行きに関する、なかなか厳しい状況を伝える記事が載っています。アメリカと中国の参加をどのようにして実現するのか、さらにそれ以上に…

多少前進?

10月17日号のAsiaですがBanyanが日本と周辺各国の歴史認識に関する改善の兆しについて書いています。鳩山首相が韓国・中国のトップと関係強化の方向で話をしたことに立脚するようですが、懸案の領土問題もあり、先行きは必ずしも明るくないわけですね。それ…

戦争への冷笑

10月17日号がウェブに載ってます。Leadersのトップはアフガニスタン戦争とオバマ政権が苦慮する増派について。8年経って結果の出ないアフガン戦争への追加派兵は、増量なのかそれとも(上手くいかないことへの)手術なのか、というトーンで疑問符が呈されて…

クレジットカードの御代は?

10月10日号のEconic focusです。アメリカと違って日本は未だに現金払いなのですが、今日はその弱みをついたような話の持つ意外な弱みについて。現在クレジットカードは全世界で普及していて、発行会社が取る手数料はと言えば1%から0.4%程度となっているそ…

歴史を曲げるクセ

10月10日号のAsiaです。なんとまあ、と思ったのは、中国に関する囲み記事で「中国の歴史教科書は、共産党政権のために都合よく歴史を歪曲するクセがある」「生徒は通常教科書の記述をそのまま覚えさせられる」「歴史と、歴史物語の区別がない」等々、これで…