新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2015-01-01から1年間の記事一覧

シリア難民が生むかもしれない価値と、移民に対する社会的寛容というアメリカの持つ資産について

The Economistクリスマス特大号のUnited Statesには、これまで歴史的に多くの貧しい移民を受け入れ、先住者たちとの軋轢を克服し、そしてそれを力にしてきたセントルイスの事例が紹介されています。 古くはドイツからの移住者とアイルランドからの移民との緊…

神話の産業化

12月19日号のThe Economistは、Leadersのトップ記事と巻頭近くのBriefingの両方で新作のスターウォーズを制作した米ディズニーの事業戦略について、同誌一流の分析を加えています。 その中で、特に着目されているのがアニメで競争力を持つピクサー、アベンジ…

冷静に考えてみれば

ネットでは、12月12日号が流れています。 Leadersのトップ記事は、アメリカ大統領選挙に加えてフランスをはじめとする欧州諸国でも勢いを増す右派、もしくは保守強硬派の政治家たちについての話が出ています。 米共和党のトランプ候補は、第二次大戦中に日系…

それでもアメリカを、うらやましいと

12月4日号のUnited Statesには、来年の米国大統領選挙に向けた各党候補者選びの中で依然として共和党のトップを走るドナルド・トランプ氏についての記事が出ています。 黒人とヒスパニックを侮蔑し、イスラム教徒はテロリストだと決めつけ、身障者を馬鹿にす…

温暖化、そのゆくえ

ネットではThe Economist11月28日号が流れています。 Leadersのトップ記事は、パリで開催される第21回国連気候変動枠組み条約締結国会合(長すぎるためだと思いますが、ふつう皆COP21と言いますね)についての論評記事となっています。ロシアとトルコの緊張…

ゴルゴ13、失業の危機

11月21日号のScience and technologyには、最先端の狙撃銃開発に関する記事が出ていますが、それによるとレーザー誘導や銃弾に羽がついていて方向を変えるもの、銃弾にコンピュータが搭載されていて命中率を上げるものなど、ほとんど超小型巡航ミサイルみた…

アフリカへの取組みに見る時計の差

出張やら何やらで、少しご無沙汰してしまいました。 さて、11月21日号のAfrica and Middle Eastには、爆発的にアフリカ進出をしてきた中国に関する興味深い記事が載っています。 曰く、アフリカはやっぱりアフリカだったと。脆弱なインフラ、非効率な行政、…

大企業が直面する資本主義の制度疲労

10月24日号のThe Economist誌がLeadersのトップ記事に取り上げたのが、インターネットを基盤にする新興企業と既存大企業の比較記事です。同誌が言いたいのは、新興企業がどれほどネットの利便性を活用して高収益のビジネスモデルを築き、さらには株式市場に…

変わり身の早さと言えばそれは

しばらく出張でご無沙汰しておりました。 早速、10月24日号のLeadersとBritainには、さきごろ中国の習近平主席を迎えた英国の歓迎ぶりと、その際の対応に関するイギリスの自問自答に例えた若干の批判が載っています。曰く、経済を優先する歓迎ぶりは、西側自…

変質するアジアの経済構造

10月3日号のAsiaは、鈍化する域内の経済成長について参考になる洞察を示しています(Running out of puff:息切れする走り)。それによると、ここ数年いずれも輸出主導で好調な経済成長ぶりを見せていた韓国を含む東南アジア新興国の成長ぶりに陰りが見え、主…

マイノリティの憂鬱

The Economist10月3日号前半のBriefingには、アジア系アメリカ人が直面する教育・ビジネスそして社会面でのハンディキャップについて、かなり詳しい数字とともに紹介されています。曰く、白人よりも高い点数を取ってもトップの大学に入れてもらえない(黒人…

ノーベル賞、他の二人が何をやったのかと言うと

今年10月5日の夜、メディアが一斉に報じたのは2015年のノーベル医学・生理学賞に日本の大村智さんが選ばれた、というニュースでした。駅では号外が配られ、同じタイミングで長年の交渉を経て大筋合意にこぎつけたTPPに関するニュースを二番目に追いやるほど…

続く消費と続かない波及効果

9月26日号のFinance and economicsには、国慶節を迎えて消費ブームに沸く中国経済が世界経済にもたらす効果に関する予測記事が出ています。日本のメディアも、国慶節の連休で中国人観光客(というか、買い物客ですが)の、いわゆる「爆買い」が続くのかとい…

アップルカー?

9月26日号のbusinessには、コードネーム"Titan"というアップルの社内プロジェクトが600名もの自動車エンジニアを抱えて、2019年と噂される「アップルカー」の発売に向けて動いていることについての論評記事が出ています。 今月の初めだったか、ネットで評判…

ディーゼルエンジンの今後は

ネットでは9月26日号が流れています。 Leadersのトップ記事はフォルクスワーゲン社を襲ったスキャンダルの話です。日本でも広く報道されている話ではありますが、世界で販売された数多くのディーゼル車には、燃費テストのときだけ窒素酸化物(NOx)排出を抑制…

電気飛行機

今日は9月19日号のScience and technologyに出ていた面白いお話を。飛行機でも、自動車のように電気を推進力に使えないか?と言う取り組みが欧米で進んでいるようです。エアバス社はすでに実験機を飛ばし、NASAも「分散型電気推進力」とかいう、翼に小さなプ…

迎える方は

今日から中国の習近平主席がアメリカを訪問する、というニュースは、ラグビー日本代表の番狂わせもあってか、トップニュースと言う扱いではないものの、日本のメディアでも頻繁に報じられていますね。9月19日号のThe Economistでも、Chinaの中の一記事ではあ…

4億7千2百万人の中間層市場

昨日に引き続き、9月12日号の特集記事で中国市場の今後について読んでいます。目についたのは、その市場規模をあらわした数字の変化です。2010年に4千7百万人しかいなかった、いわゆる中間層(電話と冷蔵庫とクルマを持てる層)が、2020年には10倍に膨れ上が…

縛られたイノベーション

9月12日号の特集記事、Business in Chinaを読んでいます。The Economistが言いたいことは、最近の株式急落にもかかわらず、中国ビジネスにはまだまだ高い潜在力がある、ということのようです。 例によって、イノベーションについての書きぶりは間接的、とい…

中国の、ビジネスとは

ネットでは9月12日号が流れています。今週はチャイナビジネスの特集記事が載っていて、Leadersにもサマリー記事が出ています。それによると、中国でも民間企業は頑張っているようで、ビジネスプロセスの合理化による効率化が得意なのだとのこと。具体的には…

サカナネタ、二連荘

9月5日号のBooks and artsには、主に北ヨーロッパが中心ですが、ニシンを巡る歴史をまとめた本の紹介が出ています。昨日魚の話を書いたので、ちょっと目に留まったのですが、北欧・スカンジナビアやイギリス、アイルランドあたりの人々にとってはその歴史を…

漁の東西

The Economist9月5日号のScience and technologyには、最近日本のニュースでも良く取り上げられる漁業資源の枯渇問題に関する興味深い話が出ています。それによると、ヨーロッパでは漁業に関して主に資源保護のため、あれこれ規制が存在しているようなのです…

軍事パレードの意味するもの

ネットでは9月3日号が流れています。 表紙とLeadersのトップは大統領選挙を来年に控えたアメリカについての話題ですし、Leadersのその他の記事もアジアのそれではありません。それでも昨日北京で行われた軍事パレードに関する記事は、Chinaにしっかりと出て…

コアコア

8月29日号のFinance and economicsには、28日に発表された日本の物価統計に関する論評記事が出ています。全体のトーンとしては、デフレ回帰を懸念するような内容になっていますが、日本国内でも報じられているとおり、日銀が消費者物価指数から値動きの激し…

富裕層の旅行

8月29日号のInternationalには、変質する富裕層の旅行についての分析が載っています。それによると、同じ富裕層と言っても出身国や年代、生まれたときからお金持ちだったか、あとからそうなったかなどによって、旅行に出た時のおカネの使い方がちがうのだそ…

中国の株価下落について

The Economist8月29日号はLeadersのトップで中国の株価下落への対応ぶりについてやや慎重な論評を載せています。先週の記事では、株式市場が中国経済に占める役割が限定的であることを参照し、楽観論とすら読める論調だったのですが、今週は短期的な影響より…

災害からの復旧・復興、もう一つの事例

電子版からのアクセスですが、ハリケーン・カトリーナの災害から10年、ニューオーリンズが見事な復興を遂げたように見えることについての記事があります。それによると、白人層は持ち前の起業家精神を発揮したり、ニューオーリンズ出身者の里帰り復興支援な…

わかっていたはずの戦慄

The Economist電子版のトップには、先週末から世界の株式市場を震撼させた中国発の世界同時株安に関する論評が出ています。元切り下げをきっかけに始まった今回の株安ですが、中国のお金持ちは株式市場よりも不動産や事業などの現物投資におカネを集中させて…

未来のロボット

The Economist 8月15日号のFree Exchangeは、進歩するロボットとそれによって影響されるかもしれない雇用の関係について興味深い論文を紹介しています。それによると、確かにロボットの進歩はそれまで人間が行っていた仕事のうち少なくないものを代替する可…

危険とは何か

8月15日号のThe Economistには、発売日がそうだからと言うわけでもないと思うのですが、一見さほど大きな変化があるわけでもない日本の政治そして経済についての比較的詳しい記事が載っています。 まず政治についてですが、Enraptored(タカ派にされている、…