新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2016-01-01から1年間の記事一覧

2016年を締めくくると

12月24日号のLeadersトップには、2016年が自由主義にとって厳しい年だったことを総括する記事が載っています。曰く、英国のEU離脱や、トランプ米国次期大統領の当選、あるいはハンガリーやポーランドをはじめとするヨーロッパで見られたナショナリズムの台頭…

監視国家

12月17日号のLeadersトップとBriefingは、中国のインターネット監視システムと、それがもたらすであろう弊害についての突っ込んだ分析を伝えています。民主主義の国では当たり前のコミュニケーションの自由と情報乱用の規制が、中国ではそのいずれも存在せず…

弾劾のあとには

The Economist12月17日号のLeadersにはシリア内戦、サイバー戦争と中国などの話題と並び、大統領弾劾が成立した韓国についての記事が出ています。北朝鮮の核開発が続き、アメリカ大統領選の直後に、ある意味で最悪のタイミングに力の空白を許すってどうなの…

オルト・ライトをどう見るか

The Economist12月10日号のBusinessは(他の欄ではなく、なんとBusinessです)、アメリカのトランプ政権で主席戦略官・上級顧問として戦略を担うことになったスティーブン・バノン氏の出身母体であるブレイトバートニュースについて詳しく紹介しています。い…

バイクを作るベンチャーの話

12月10日号のBusinessから。 世の中、さまざまなベンチャービジネスはあれど、オートバイ、もしくはモーターサイクルを作ると言われると、へっ?と思われる方も少なくないのではと思います。だって需要は伸びないだろうし、東南アジアで売れるのは原チャリ(…

アメリカビジネスのこの先

前後しますが、12月10日号のLeadersトップ記事について。 トランプ次期大統領が政権発足に備え、着々と布石を打っていることは日本でも報道されている通りなのですが、その中で彼が人目を引くような個別企業(フォードやボーイングなどについては日本でも報…

島は帰らない?

12月10日号のAsiaには、予定されているロシア・プーチン大統領の日本訪問についての観測記事が出ています。それによると、ロシアでの世論が強硬(71%が歯舞・色丹の二島返還にすら反対)であることなどから、返還が実現することは難しいだろうとのことです…

PISAについて、The Economistの見方

国際生徒評価プログラム、と言ってもピンときませんが、日本のニュースでもPISAという名前は報じられているので、ああそうかと思われる人は多いかもしれません。正式にはProgram for International Student Assessmentというそうですが、この結果で日本がそ…

孫文生誕150周年

11月5日号のThe Economistについて、これまでため息と徒労感ばかりが先行したアメリカ大統領選挙がいよいよ大詰めということもあってか、さすがに今週号は関連記事が分厚いのですが、今日はあえてその流れとは一線を画した「孫文生誕150年」についてBanyanが…

急速な

ネットでは10月29日号が流れているThe Economistですが、肝心かなめの米大統領選に関する記事で注目すべきものはほとんどなく、かろうじて電子版のほうにキャンペーンを急激に縮小しつつあると言われる共和党・トランプ候補の動静が伝えられています。 流石…

それも理由?

The Economist誌10月22日号のAsiaには、日本の産科医療について焦点を当てた記事が載っています。曰く、無痛分娩(穿刺による麻酔薬注入)が増加してきているものの、まだ病院の通常営業時間に限られる場合も多かったり、健康保険でカバーされる出産費用の内…

落ちるところまで

ネットではThe Economist誌の10月15日号が流れています。トップ記事はアメリカ大統領選挙とアメリカ政治そのものに関する憂慮を伝える記事となっていまして、トランプ候補の混乱ぶりもさることながら、それでもなおかつ40%を超す支持を取り付け、選挙後の妥…

CORSIA(国際線のための炭素相殺・削減スキーム)について

The Economist電子版は旅行をテーマにしたGulliverというコラムで、今後長期的な成長が見込まれる航空各社の国際線ビジネスと環境汚染の問題について論じています。 www.economist.com 記事によると現状で国際線のフライトが起因となる温暖化ガスの排出は、…

ストックホルムへの7枚のチケット

よくThe Economistを読んでいて思うのは、科学関係の記事が読みやすくレベルも高い、ということです。むろん日本の新聞も、科学文化部あたりが週末の特集記事として大きなページを使って書く記事は、十分に深いのですが、あるいはニュースの記事があまり深い…

気候変動対策のための、新たなる資金チャネル

The Economist10月8日号のFinance and economicsには、気候変動対策向けの新しい国際資金メカニズムである「緑の気候基金」(Green Climate Fund)についての記事が載っています。 www.economist.com 他の環境対策に比べてあまりに範囲が広く、求められる資金…

大勢は

休日の夜にどうかと思ったのですが、The Economist電子版が取り上げたアメリカ大統領選挙テレビ討論の第二回目について。 既にどちらが勝った、というような議論は論外のようで、それでも結論は辛辣です。 「クリントン夫人への脅しを含め、彼(トランプ氏)…

オバマが遺してゆくもの

The Economist誌の10月8日号は巻頭のBriefingに、バラク・オバマ大統領による長文の寄稿を載せています。曰く、保護主義や反イスラム主義を批判しつつ、疑いようのない資本主義と世界経済の関係性がもたらす価値を踏まえて、経済の分野において4つやり残した…

Priceyの反対語

10月1日号のBusinessには、ついにスマホ向けのゲームビジネスへと踏み出した任天堂の戦略に関する比較的好意的な論評が出ています。 曰く、コンソールビジネス(据え置き型ゲーム機)で一世を風靡した同社も、最近はスマホゲームに押されて売り上げの柱であ…

グローバリゼーション退潮?

10月1日号のThe Economistは特集記事で今日の世界経済に関する多面的な分析と、様々な場面で疑問を呈されるグローバリゼーションについての基本的な支持を旗幟鮮明にする分厚い記事を載せています。 www.economist.com 曰く、自由貿易で奪われる雇用もあり、…

速報 2016アメリカ大統領選 第一回テレビ討論について

The Economist電子版は、第一回テレビ討論の結果について明らかにクリントン候補の一本勝ちであった、という明快な評価を下しています。 序盤戦ではマイペースで良い感じだったというトランプ候補ですが、司会者から振られたオバマ大統領の出生地問題で、明…

シン・ゴジラの成功に関する読み解き

The Economist誌の9月24日号によると、シリーズ中でも特筆すべき大ヒットになっているという「シン・ゴジラ」が示唆するものは、よく言われる地震や津波などの災害に加えて、増大する中国の軍事的脅威、あるいは軍国主義に戻ろうとする安倍政権の強引さでは…

成功した取り決めに戻るということの功罪

The Economist電子版には、かつて国際的な問題となったオゾン層破壊物質を削減した「モントリオール議定書」を見直そうという記事が出ています。この国際取り決めの名前を知らなくても、以前はときどきマスコミに取り上げられていた「オゾンホール」という現…

テレビ討論会の行方について

The Economist電子版は、9月26日に第一回が予定されているアメリカ大統領選のテレビ討論について、過去の事例をなぞりつつ、今回の選挙結果にも大きな影響をもたらすであろうとの見通しを伝えています。 www.economist.com 1980年の大統領選挙で民主党・カー…

ドゥテルテのフィリピンが考えていること

9月17日号のAsiaには、先ごろG20首脳会議でアメリカのオバマ大統領に対して悪態をつき、首脳会談を棒に振ったことが記憶に新しいフィリピンのドゥテルテ大統領と、対中関係を巡るフィリピンの動きについての興味深い記事が載っています。 www.economist.com …

基本通りに

9月17日号のUnited Statesには、アメリカ大統領選挙でクリントン陣営が犯しそうになっている微妙な失策についての鋭い論評が出ています。 曰く、「人種差別主義者で女性差別主義者で、反同性愛、反外国人、反イスラム主義」だというトランプ候補に対する攻撃…

不満の終着駅(とりあえずの)

ネットでは9月17日号が流れています。 その中の、United Statesの記事で最もコメントが多いのがドナルド・トランプ氏とアメリカのネトウヨともいわれるオルト・ライトの関係について書かれた記事でした。 ネットで調べてみると、オルト・ライトとは共和党支…

Valuationの難しさ

9月3日号のBusinessには、つい最近までその急成長ぶりが注目されていた中国のスマートフォンメーカーであるシャオミ(小米)の停滞についての記事があります。これを読むと、企業価値評価(ValuationあるいはPricingなどと言います)がいかに難しいものか、…

香港に見る変化

The Economist電子版には、9月4日に行われた香港立法会の議員選挙結果についての記事が載っています。俗に「本土派」と呼ばれる、いわゆる民主派でも北京政府の政治的支配から脱却したいとの考えを持つ人たちの支持が伸びたこと、これらの人たちが定員70名の…

ケッコンしない日本人

9月3日号のAsiaには、50歳を過ぎて結婚しない日本人の比率が女性で10%、男性では20%に達しようとしている現象についての読み解きが載っていまして、国内のメディアもよく取り上げる話題ではありますが、若干の視点の違いがあるように思われたので、それに…

Uberが変えるクルマ社会のあり方

ネットでは9月3日号が流れています。 Leadersのトップには、ライドシェアビジネスで注目される、というか米欧ではトップを走る2009年創業のウーバー社、そして個人向けの輸送サービスビジネスの今後に関する大変興味深い記事が出ています。 www.economist.com…