新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

アメリカ大統領が黒人になる日

10月28日号は、フランスの特集とイラク問題でいよいよ撤退議論が強まってきたことについての記事(しかしながら依然としてThe Economist誌は米軍のイラク駐留を支持する論調ですが)が大きなウェイトを占めるのですが、面白いと思ったのは、Lexingtonというアメリカの政治と人を特集するページにイリノイ州選出のjunior senator(どういうポジション?誰か知ってる人教えてください。)であるバラック・オバマの特集記事です。民主党の大統領候補にも擬されるこの人は、ケニア人(当然黒人)と白人女性の間に生まれた45歳の若手政治家で、今年の夏くらいにもやはり注目されるという記事が載ってました。そのときもかなり好意的な論調で、政治家を褒めることがあまり多くない同誌にしては珍しい記事だなあと思って読んでたのですが、当初イラク戦争に賛成して意見の一貫性に疑問符がついたヒラリー・クリントンをはじめ、アル・ゴアジョン・ケリーなど使い古しの政治家が目立つ民主党、共和党のエラーを得点にできない民主党にあって、清新さや抱えた重荷の少なさがアドバンテージになる、という書き方でした。大物に比べて圧倒的な軽量感は否めないものの、抜群のコメント力や意見の構築力等が注目される、という論評です。面白かったのは前国務長官のコリン・パウエル(そういえば彼も黒人です)との比較で、パウエルは回顧録で湾岸戦争に批判的だったことを暴露したため「やりたくない戦争をやってしまった(=自分に不正直だった)」者として歴史に汚名を残すことになった、とされている点です。アングロサクソンの価値観において、面従腹背がどれだけ卑下されるものであるのか、を物語る良い例だと思ったので特に紹介します。どうやらこのレベルでは「意見の一貫性」、が重要な評価基準のひとつになるようですね。