新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ミルトン・フリードマンを悼む

11月25日号は、Leaderに加えてFinance and Economicsのページの後にSpecial Reportを組んで、都合3ページにわたり新古典派経済学の巨星を追悼する記事を載せています。

題して「5フィート2インチのヘビー級王者」という記事は、ケインズ経済大流行だった50年前に初めて統制型経済政策への批判的考え方を世に問うた時代には誰からも振り向かれなかった彼が、やがて時代に呼ばれるようになったこと、子供の頃おしゃべりでうるさいことから周りが「シャロウ」(浅瀬の意。水音がうるさい)というあだ名だったこと、政府の規制を徹底して嫌う市場優先の経済理論は「マネタリズム」と呼ばれ、ハイエクと並んでレーガンサッチャー時代の経済学的な拠所であったこと(特にレーガン)、94歳の長寿を全うした彼の、夫人(経済学のパートナーでもあった)はなお健在であること、自由貿易と小さな政府が作り出した経済的な成功事例として香港を気に入っていたことなどを伝えています。

ちょうど私が大学に入った頃だったでしょうか「選択の自由」という彼の本が、レーガン政権だったこともあり、ベストセラーになったことを覚えています。まだ日本の大学ではマルクス経済学が健在な頃でありました。

記事の最後にのっぽのジョージ・スティグラー教授と並んで歩くフリードマンの後姿を写した写真があり、「彼ら二人は世界をより自由で幸福な場所にする相談をしているところに違いない」と締めくくられています。