新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

イン・ザ・マネー

1月20日号の特集記事は、in the moneyという題で大企業が社長など経営トップに支払う報酬の多寡について論じています。ちなみにタイトルとなったイン・ザ・マネーとは、ホリ○モンが最初に経営していた会社、ではなくて、デリバティブなどの評価価値が上がったことにより、思ったよりも多くのキャッシュを手にすることになった状態を言うのだそうです。

そんな特集記事が出るほど世の中好景気、ということなのか、地方などではいささか異論が出るところではありましょうが、厳然たる事実としてアメリカも、ヨーロッパもそして日本も株式市場は好調で、まさに「おカネが廻っている」状態にあると言えます。

曰く、「歴史上かつてない経営者への報酬は管理や公開が必要だ」、「儲かっている範囲であれば問題はない」、その他の議論が紹介されていますが、やはりThe Economistは「自由主義を是とする」立場を崩そうとはしません。

とはいえそこは慎重に「条件付ながら」と断っていますが。

良い人材を集めるためのインセンティブとして高額の報酬を約束する、そうするとお金は成果を納めた人の実績よりも、将来有望な経営者への投資という意味を強く帯びる。

経営者は取締役会のために働く。でもそうすると、取締役会を管理するのは誰?

これらを議論する中で、最終的に企業に対して求めているのはやはり透明性ある経営の実現に他なりません。社会の公器たるべき企業の立ち居振る舞いとして、社長の鶴の一声で何でも決まっていた80年代(アングロサクソンの世界の話です)から脱却したことは、やはり一歩前進である、The Economistの見方はその辺にあるのかも知れません。