新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ヒラリーなんか、大嫌い

1月27日号はLexingtonのページでHating Hillaryと題して、つい先日2008年の米大統領選挙への出馬を表明したヒラリー・クリントン候補を巡る評判について報告しています。

それによると、I hate Hillaryと書かれたTシャツやコーヒーマグなどのノベルティ(?)商品が売られて「嫌ヒラリー産業」とでも言える一大産業となっている(?)こと、「ヒラリーを嫌う」ブログのポータルサイトも登場したこと、イラク戦争を支持したことが左派(いわゆる民主党リベラル派より、もう少し広い概念かと思います)には受けが悪いこと、そして右派からは知性的な態度が拒否反応を食らっていることなどなど。。。

しかしながら、記事自体は「そんな悪魔に良識あるアメリカ人は投票しないに違いない」という「保守的な繭」にこもってしまう共和党支持者に対する警告とも取れます。記事は、行過ぎた嫌ヒラリー主義はかえって有害になりうること、ホワイトハウスを離れて6年間、彼女が再構築した「完全なる中道」路線はテロとも戦い、また宗教的に行過ぎたブッシュ政権の後を考えるとクールな知性派というのも受けは悪くないだろう、と分析しています。彼女自身、孤高の中道路線を感じることがあるようですが、記事は最後に「2008年にはそんなに一人でもないのでは」と締めくくっています。

The Economistのお気に入りは、これまでも何度か触れているようにバラック・オバマ民主党上院議員なのですが(で、先週はヒラリー候補の負け戦、を予見するような記述もあったのですが)、態度を変えない範囲で逆説的な応援メッセージを書いているようにも見えます。女性にしても、黒人(但しオバマ上院議員の父親は奴隷黒人の子孫ではなく、ケニアからの二世ですが)にしても、それだけ大きな視点の転換がないと苦しいところまでアメリカ(特に民主党)が来ている、ということの表れではないかと思います。