新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

36歳、女性、社長。

2月10日号のFace valueのページには、若干36歳で南アフリカ有数のプラチナ資産を有する会社を率いることとなったザナレ・マブソ・ムブサ女史の話が出ています。あくまで一般論ですが、数ある途上国の中でもサハラ以南のアフリカ諸国は基本的に男尊女卑社会と言われています。その中にあって、南アフリカの鉱業セクターと言えば、長らく白人男性がドミナントな地位を占めてきたわけですが、黒人経済強化計画のおかげで黒人が所有する企業が生まれ、更にその中で有能さを買われて社長に着いた人がたまたま女性という会社があった、というのが真相なようです。

政治家だった父の亡命により海外で教育を受けることになった彼女は最終的にカリフォルニアで国際経済を学ぶまで、二級教育しか受けられなかった南アの黒人たちに比べると「何光年も先の」教育を受けることができたようです。ウォール街の金融業に勤めた後、「亡命者の赤子にとっての最終目的地」たる南アに帰ってきたようです。最初「ビジネスでは、黒人女は全く相手にしてもらえなかったのよ。」という状況にあって、前述の強化計画により黒人社会にも企業が誕生することをビジネスチャンスと見た彼女は自身の投資会社を起こし、このほど社長を務めることになった鉱山会社の株を買ったというわけです。その後経営者の交代時に大株主であり取締役会副議長であったことから経営を任されることになったようですが。

プラチナ以外の鉱物資源についても手を広げて、会社を複合的な鉱山オペレータにしたいというビジョンを彼女は持っているようです。更に、単なる企業の売り買いを拡げただけ、と酷評される黒人経済強化計画にあって、彼女の例のように本気で経済を底上げする事例があることには大変勇気付けられます。The Economistが語るように「企業家と、雇用の創出」こそが本来的な目的であったはずですし。

「父の世代は政治で戦った。」彼女は言います、「私たちの世代は経済で奇跡を起こすことで政治的自由を保持できたかどうかで評価される。」と。

頼もしい話です。是非頑張って欲しいものです。