新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

科学は難しくない

3月10日号のTechnology quarterlyですが、後半には進化する太陽電池、タッチスクリーン、コンピュータを悩ませてきた「名前の一致」を解決する技術について、というような記事が載っています。感心するのは、たとえば太陽電池がなぜ動くのか、というような図解が載っているのですが、出典のところにSource: The Economistと書かれていて、その図解が自作であることが示されていることです。無論いつもそうだ、というわけではないのでしょうが、安易に孫引きするのではなく、先ず自身の理解として消化した上で、読者に合わせた(事務系の人間が読んでも判るように)表現に置き換えて説明する、という姿勢がうかがえる図です。

興味を持ったのは、名前の一致についての話です。アラビア語や中国語など外国語の名前を表記する方法が多岐にわたるため、テロリストなどが簡単に捜査網を潜り抜けられるという問題を、どのように解決するか、という話なのですが、たとえばモハメッドという名前について言えば、モハメット、モハマド、ムハンマド、ムハマド、メフメト、その他、英語だと160通り以上の「正しい」標記があるそうです。そのうちどれかがデータベースに載っていたとして、一致しない名前をどのように探すか、という話です。そもそも正しい名前なので、パスポート等は真正なものが発行されるとすると、違う表記で起こした過去の問題などは容易に隠すことが出来る、というのが問題点として指摘されています。基本的には属性データを増やす等、コンピュータの力技に負う所も大きいようですが、「あいまい検索」がこのような「偽名でない偽名」を拾えるようになると、犯罪抑止力も高まるのでしょうね。