新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ブルータス、お前もか

4月21日号は、internationalのページで世銀総裁の汚職疑惑に続き、OECDのアンヘル・グリア事務総長を巡る疑惑についても詳報しています。先代事務総長が行った内定人事を取り消すなど選考基準の見えない不透明人事と、サッカー観戦をオファーした民間企業に家族と友人の招待をねだるなどの便宜供与、公私混同と取られても文句の言えない態度など、内部の人間が「かつて、事務総長はOECDに奉仕した。いまやOECDが事務総長に奉仕している。」となげく混乱ぶりです。書き方から、さまざまな証拠をThe Economist自身が入手して検証したものらしきことが伺われます(この雑誌の影響力を考えると、内部告発者が証拠を提示したことも十分考えられると思います)。なんと言うか、世銀に続いてOECDよ、お前もかという感じですが、国際機関の経営を巡る綱紀粛正は、たとえば日本がもっと声高に主張しても良い分野だと思います。一昔前だと外務省も不祥事が相次ぎ、その組織文化や土壌が問題とされた時代もあったため、なかなか声も出しづらかっただろうと思いますが、空念仏のような「透明性と説明責任」という総論だけではなく、個別事例を突っ込んで議論するようなイニシャチブがあっても良いのではないでしょうか。

その他、Businessのページでは他社に先行するグーグルの拡張ぶり、Web文化の担い手がポルノサイトからSNS等のコミュニケーションサイトに移ろうとしているという統計、宇宙ビジネスの勃興と投資家の視点、アメリカの自転車タクシーとそれをめぐる規制など。インドや中国の投資機会に関する記事も面白そうです。