新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

宗教的問題の構図

6月2日号を読み進めると、面白い(というとやや不真面目に取られそうですが)二つの記事を見つけました。一つはAsiaのページにあったマレーシアでのイスラム教からキリスト教への改宗を認めないという宗教裁判所の決定について、の記事です。それによると、キリスト教徒と結婚したいマレーシア人女性が憲法第11条が定める信教の自由に基づき改宗を申請したところ、イスラム法廷(ここと憲法の関係がよくわかりませんが)が「気まぐれ(結婚は気まぐれでしょうか?)」で改宗をすることは認められないという決定を下したのだそうです。マレーシアの現政権が進める、開化したイスラムという考え方も、このような判例の前には急進派に活動の隙を与える、というようなトーンで間接的な批判がなされています。インドネシアについても6つの定められた宗教から自分の宗教を選んで身分証に記載する制度があること、なども参照されています。

いま一つの記事はUnited Statesのページにある「創世記博物館」の話題で、こちらは聖書の記述を100%信じる人が作った創世記の時代を再現展示した博物館(ケンタッキー州)だそうですが、恐竜と人間の共生やノアの箱舟にも恐竜が乗せられたはずである、宇宙は出来てから6000年しか経っていない等、私たちから見れば荒唐無稽とも思える内容の展示がなされているそうです。驚いたことに、こちらの記事にはあまり批判めいた記述はありません。旧約聖書がキリスト教とイスラム教に共通の経典だからなのでしょうか。それとも多分にジョークのセンスを認めるものなのでしょうか。いずれにしても、宗教が絡むと民生も外交も、時にめんどくさいものになる点はいずこも同じ、というふうに取れます。岡目八目的には「改宗させてあげればいいじゃないの」、だし展示については「ジョークでしょ、それって」といいたくなるところですが、どちらもマナーの点から言えば面と向かって言うべき類の話ではない、という点が「めんどくささ」として感じられる理由だと思います。ま、世界は広いということで。