新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

オバマ大統領、はありうるのか

6月16日号を読み進めていくと、やはりどうしてもUnited Statesのトップを飾っている米民主党オバマ候補の近況に目が留まります。そうでなくてもThe Economistは同候補を贔屓としているようで、(あるいは贔屓としているアメリカ市民の意見を代弁しているようで)、彼に関する記事は多いのですが、これは多分に現編集長のJohn Mickelthwaitが優れたアメリカ・ウォッチャーであることに強く関係していると思います。すなわち、世論調査の伸びない支持とは別に、オバマ候補のカリスマ性や若さ、政策面での一貫性等が、地滑り的支持を得て大統領に当選する可能性を「あり」と踏んでいるものと読むことができます。そうでなければここまで多くのページを割いて同候補の話ばかりを書いたりはしなかったのではないでしょうか。

ケニアの貧民だった父親が奨学金を得てやって来た夢の国アメリカは、その息子にハーバード大学で学ぶチャンスを与え、さらにその息子本人が大統領になろうとしている。これは他に類を見ない決定的なアメリカンドリーム譚だといえます。奴隷黒人の子孫でこそないものの、彼の祖父はケニアに住む英国人の使用人だったといいますから、さらに市民社会の公平性を謳うには十分すぎる資格を備えているといえると思います。

保守論客のロバート・ウィルが喝破したように「彼はアメリカ国民に大統領府をエントリーレベル前後の政治機関とすることを求めている」といわれるほどの経験のなさは確かにハンディです。が、そのうち話題に上るはずの「副大統領候補」を誰にするかによっても帰趨は大きく変わってくるでしょう。その意味で、今回の大統領選挙は決定的でない候補が乱立しているだけに、「副大統領候補」には困らないように見えますね、共和党も含めて。